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「でな?ボクのレベルをサーチしようと思うねん」
ハデスがそういって小さく笑う。
「怖いのは嫌ですよ?」
ボクは少しだけ笑った。
「怖ないで?
サーチャーの光に当たるだけや」
「やー」
サーチャーがそういうとピカッと目が光る。
「完了やで」
「早いですね」
「まぁ、見いひんでもわかるけど……
魔力レベルは1や」
「はい」
ボクは覚悟していた。
自分が弱いことを。
「魔力容量以外は全てのステータスが1。
力も魔力も素早さも防御も魔法抵抗も1」
「はい」
でも、改めて数値化されると落ち込む部分もあった。
「でもな?魔力容量は魔人並かそれ以上。
レベルがあがるとするのなら魔力容量に関しては神や魔王クラスや」
「はい。
でも、集中力が維持しないとすぐにバリアが溶けちゃうので油断できないです」
「そんなボクにこのアイテムをプレゼントや!」
ハデスは、そういってメガネを取り出した。
「メガネ?」
「そうや。
本来は魔力を食うだけの呪いのメガネなんやけど。
外すか蓄積魔力を食い尽くすまで装着した存在の全ての能力をあげるねん」
「へぇ……」
メガネを装備するだけでは、そんなに強くなれない。
そう思っていたボクは、軽い気持ちでメガネを装着した。
「おおおー」
軍鶏爺が声を出す。
「これは……」
新一が驚いている。
「え?」
ボクは状況がわかっていない。
「おいお前ら!今の魔力に――」
ジョーカーが慌てて姿を現す。
そして、ボクの方を見る。
「ジョーカーさん?どうしたんですか?」
ボクの声にジョーカーが驚く。
「その声、ボク……でいいんだよな?」
「はい、僕はボクですよ」
「そうか。で、なんなんだその滅茶苦茶な魔力は……
一瞬、テオスが襲撃したのかと思ったぞ?」
「これぐるぐるメガネやねん。
蓄積魔力を食い尽くすまで一時的に能力を滅茶上げる呪いのメガネやねん」
ハデスの言葉にジョーカーが驚く。
「そうか、ボクの蓄積魔力は魔人クラス。
だからその眼鏡をつけてもダメージは低いのか……」
「数値で申し上げますと。
潜在魔法力と同等の数だけ1秒間に消費します。
ボクさまの潜在魔法力は1ですので1秒間に1消費することになります」
「あ、じゃ。
あまりつけないほうがいいのかな?」
ボクの質問にサーチャーが答える。
「いいえ。
ボクさまの蓄積魔力は、1億を超えています。
そして、1秒間に回復する魔法蓄積量は、100万を超えていますので――」
ボクの頭は混乱した。
「つまり、メガネをつけてもボクへの負担はほぼないってことや」
ハデスがビシっと指を立てた。
「えええ?」
ボクが驚く。
「確かに総合的に強くなってはいますが、筋力や魔法力は低いので攻撃力は――」
サーチャーがそう言いかけたときボクはなにを思ったのか手に魔力を込める。
そして、小さなバリアを貼る。
それを弾くとゆっくりと森の木に当たる。
気が消滅した。
「ああああ、その手がありましたか」
サーチャーが嬉しそうに笑う。
「なるほど、バリアアタックですか」
新一が小さく笑う。
「それ凄いやん!この攻撃は人間では白銀だけしか出来ひんって聞いててんけど」
ハデスの言葉にボクは驚く。
「これ白銀先生に教えてもらったんですけど……
凄いんですか?習得にかなり時間がかかったんですけど」
「魔人が、100年掛かっても習得できるかわからんって言われているものやねん。
そんだけ魔力方程式の形成が難しいねん」
「へぇ」
ボクは、ハデスの熱意にやや押されつつある。
「これはどや!」
ボクの前に出したのは筒だった。
そして、ハデスはボクに色んなアイテムを提供した。
ボクが少しだけ戦力になる瞬間だった。