第10話
––––クケェェェェェェェェェ!
目が見えないまでも、
「……うっはっ!」
頭上高くから突きだされてくる死の疾風を、林太郎はすんでのところでかわす。
––––バゴーン!
床板が貫かれ、砕け散る。
「……これは強烈だ」
胸に直撃しようものなら、肋骨砕け、心臓破かれてしまう。
––––ギケケケケケケケケッ!
頭を戻したバシリスクは、さらに目にも止まらぬ速さで
横へ後ろへと身をひるがえし、林太郎はそれをかわしていく。が、身にまとう白衣のいたるところが破け、ちぎれ飛ぶ。
「……ちょっと、これ、まずいかも」
全身の毛穴から冷たい汗が吹き出る。確実に、そして急速に死が林太郎に迫っていた。
––––コォケケケケケケケッ!
いよいよ勝ちを確信したバシリスクは、天に向かい
––––ギャァァァァァァオン!
絶叫となった。苦痛に身をよじるような悲鳴。
「……⁉︎」
林太郎が気づく間もないぐらいに素早く、もしくは息をひそませ、バシリスクの前に音もなく立つ者がいた––––それは、ふたりの少女。手には槍。ふたつの長大な
雪のように舞う、大量の白羽を
「せいやぁ!」
「うりゃぁ!」
ふたりの少女は、声をそろえて槍を持ち上げる。
––––ズン!
翼を貫いた穂先は、天井に深々突き刺さる。
––––ギャァァァァァァァァァァ!
バシリスク、