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「ぼーーーーーーくーーーーーーー」

 女の子の声がだんだん近づいてくる。

「ボクボクボクボク!」

 その声は、早口になり女の子はボクの背中にガツン!とぶつかるとぎゅっと抱きしめた。

「ピノさん」

 ボクが弱々しい声でその名を呼んだ。

「ピノだよ!
 ボク、レベル上がるようになったんだね!
 ピノを殺していいよ?」

 ピノの言葉にモスマンが驚く。

「殺す……どうしてなのだ?」

「ピノも無限に経験値を与えることが出来るの。
 無限再生の力を持っているの。
 だから、ボクがピノを殺せばレベルがいっぱい上って強くなれるの。
 強くなったら女の子にモテて童貞をぽいっと捨てれるの。
 それでね……」

 ピノがそこまでいうとイリアがピノの身体をぎゅっと後ろから抱きしめた。

「それでピノさんはしあわせになれる?」

「え?ピノのしあわせ?」

 イリアの言葉にピノは驚く。

「うん」

「ピノ、しあわせになってもいいの?」

「あたりまえじゃろ?」

 モスマンが小さく微笑む。
 誰よりも優しく誰よりも切ない。
 そんな感情が湧き出る。

 ピノは涙をボロボロと零した。

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