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ぼーっと窓から外を眺める少年亜金。
「亜金」
プレゲトンがその名を呼ぶ。
「あ、プレゲトンさん」
亜金が力弱くその名を呼ぶ。
「あ……あの」
ボクが弱々しく声を出す。
「えっと、ボクくんだっけ?」
「あ、うん」
記憶を失った亜金は、何か別人のようでボクには接しつらかった。
「おはよう」
「うん、おはよう」
亜金の挨拶はどこか淋しげでどこか優しかった。
せかいはまるく。
残酷だった。
――ですますスイッチ事務所
「ボクくんが、どこに行ったかわかりましたか?」
そう言ったのはファルシオンのメンバーのキサラギ。
ファルシオンとは、勇者が集まるギルドのひとつだ。
「それが、全くわからないんだ」
新一がそう答えるとキサラギがため息をつく。
「ですよね。
あなた方のことでしょうからわかっていたらここにはいませんよね」
「そうだな」
灰児がそういって爪をかじる。
「だけど、フィサフィーが連れ去ったのだからテオスの基地にいるんじゃない?」
裕也がそういうとキサラギが首を横に振る。
「それはそうかもしれません。
ですが、テオスの基地の場所は誰にもわからないのですよ。
あの場所はテオス関係者じゃないと入れません。
なので、テオス関係者じゃないボクくんが入れるとは考えにくのです」
「関係者の可能性もあるよね?」
新一がそういうとキサラギがうなずく。
「フィサフィーがテオス関係者と認めたのなら……
入れるでしょうね」
するとキサラギのスマホが鳴る。
キサラギがすぐにメールを確認する。
キサラギが安堵のため息をつく。
「ボクくんは、どうやらアンゲロスに保護されているようです」
「アンゲロスに?なんでまた?」
新一が驚く。
「まぁ、詳しい話は本人に聞こう。
アンゲロスには俺らでも入れる。
引き取りは難しいかもしれないが警護なら受け入れてもらえるかもしれないしな」
灰児が、そういって優しい目で笑った。