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「では、行きましょう」
食事を終えたボクに紅鮭がいう。
「どこに?」
「せめてこの街の隊長さんにはきちんと挨拶をするべきだと思うのです」
「隊長?」
「はい。
一番街隊長。
風來の一花さんです」
「あ、知ってるかも」
「でも、きちんと挨拶できてないでしょう?」
「うん」
「挨拶って大事ですよー」
紅鮭が、そういうと小さく微笑む。
その表情が可愛くボクはときめいた。
「そ、そうだね」
「行きましょう」
紅鮭の提案にボクは従った。
部屋を出るとそこはまるで前世で暮らしていた街のマンションのようだった。
マンションを出るとやっぱり見知った街がある。
「あのここは?」
「ここは、アンゲロスの街。
多分、ボクさんの前世で暮らしていた世界の街に似ていると思います」
「うん、そっくりだよ!」
ボクはどこか安心した。
「アンゲロスは、科学も進化していますから……」
「そうなの?」
「はい。
こういうのもあるんですよ?」
紅鮭はそういってスマートフォンを出した。
「スマホだ!」
「そうです。
アンゲロスには、人間でいう咎人さんたちも沢山いるの。
その咎人さんが人間の世界の科学を提供したのがきっかけで一気に発展したの」
「そうなんだ?」
「うん。
まぁ、人間界でも発展はしたんだけど。
核戦争にも発展してしまい、それ全て咎人の責任にして隔離したのが咎人という差別が生まれたのよ」
「そっか」
責任転嫁のような差別や隔離。
それは、前世のボクは知っていた。
部落などもあった。
自分の知らない世界のことなので知らないままでいた。
でも、いじめられた前世。
そして、奴隷時代の自分や今を経験してそれがダメなことを知った。
「じゃ、車を出すからここで待っていてね」
「うん」
ボクはうなずく。
「じー」
視線を感じる。
視線の先には金髪に炎のような赤い目を持った少女がいる。
プレゲトンだ。
「な、なにかな?」
「一花のところにいくのでしょう?」
プレゲトンがそういうとボクはうなずく。
「うん」
「じゃ、私も行く」
「え?」
「だって私は貴方の友だちのパートナーのなのだから」
プレゲトンが胸を張っていう。
「そっか」
「うん?元気ない?」
「いや、いろいろありすぎて整理ができなくて」
「なに?恋の悩み?」
「いや、恋じゃないかな」
「つまんないのー」
プレゲトンが一呼吸入れて言葉を放つ。
「亜金ってどんなやつ?」
「え?」
「なんか心ここにあらずって感じでさ。
なんかつまんないの」
そういったプレゲトンの顔はどこか淋しげだった。