御子柴からユイへの想い⑫
御子紫&日向&細田
日向「お前さー、マジでうぜぇ。 御子紫はいつまで色折を庇うつもり? お前が色折との縁を切ったら、もうこんなことはしねぇのに」
御子紫「・・・」
日向「アイツのどこがいいんだかー。 あの偽善者。 調子乗んな。 キモい。 うぜぇ、バーカ」
細田「おい! 御子紫に何を言ってんだよ!」
日向「ちッ・・・」
未来&悠斗
未来「おい悠斗、日向が言っていることをちゃんとメモっているか?」
悠斗「ん・・・。 頑張って書いてるよ・・・」
未来「後で日向が御子紫に対して言ったこと、全て紙に書いて机の中に入れておいてやる!」
悠斗「偽善者・・・。 調子乗んな・・・」
未来「あッ! マズい、真宮が来た! 逃げるぞ悠斗!」
コウ&優
優「あれ、今回は何もないの?」
コウ「よく見てみなよ。 机の中に何か入ってる」
優「あぁ、本当だ。 ・・・って、何これ! ただの悪口が書かれている紙じゃん!」
コウ「破って捨てておくか」
優「んー・・・。 でもこの字、どこかで見たことがあるようなー・・・?」
そして、コウと優が1組の教室を出ようとした――――その瞬間。
「・・・ッ! コウ、優!」
突然二人の目の前に、未来と悠斗が現れた。 思いもよらなかった鉢合わせに、未来は声を上げてしまう。 一方コウは、それに対し冷静に言葉を返した。
「あれ、未来たちはどうしてここへ来たんだ? 今1組は移動教室でいないから、御子紫はここにいないぞ」
その問いに戸惑い言葉を詰まらせた未来は、彼らから視線を外し小さな声で尋ね返す。
「・・・コウたちこそ、こんなところで何をしていたんだよ」
その問いには、優が元気よく答える。
「いやー、御子紫のことが気になってさ! だってやっぱり、大事な仲間だし放ってはおけないじゃん? だから、いじめられていないかを確かめにー・・・ね」
「「「・・・」」」
最初は勢いがよかったものの、声が次第に小さくなっていく。 優の言葉を最後に、ここにいるみんなはしばし黙り込んだ。
“日向がいじめられるのを防いでいる”ということは未来たちには言いたくなかったため、ここは嘘をついたのだ。
悠斗ならまだいいが、未来にもしこのことを言ってしまうと彼はどういう思いを抱き何をしでかすのか分からない。 だから未来には、本当のことを言うことができなかった。
「あぁ、俺たちもそうなんだよ。 御子紫のことが心配で、少し様子を見に来たんだ」
優の発言に少し引っかかりながらも、悠斗は怪しまれないよう淡々とした口調で答えていく。
「そっか。 じゃあ・・・また後でな」
気まずい空気の中コウのその言葉を最後に、この二組は何とか別れることができた。
御子紫&真宮
真宮「今日の最後の授業は体育で、それを狙って昼休みに体操服が盗まれた、か・・・。 まぁいいよ、俺のを貸すよ」
御子紫「いや、でも・・・」
真宮「俺は構わねぇよ? 今日は丁度体育の授業があったし、今日はもう体操服を使わないから」
コウ&優
優「んー、早くいじめなくならないかなぁ・・・。 あッ、コウ!」
コウ「ん?」
優「窓の下を見てよ! 体操服が落ちてる!」
コウ「どうせまた、アイツの物だろ。 拾いにいくか」
優「・・・これ、日向の?」
コウ「“日向”って名前が書いてあるからな。 1組って、俺たちと同じで6限目が体育だろ? 急いで返しにいこう」
未来&悠斗
未来「・・・はぁ。 何で日向が体操服を着てんだよ。 さっき外へ放り投げてやったのに、何事もなかったかのように着替えているなんておかしいだろ。
さっき書いた悪口の紙も、いつの間にかなくなっていたし」
悠斗「やっぱり、誰かが俺たちの行動を邪魔しているんだよ。 そうとしか考えられない」
未来「あぁ? じゃあ、誰がそんなことをやっているっていうんだよ」
悠斗「いや・・・。 それは、分からないけど・・・」