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「な、なにをする!」
イリアが恐怖で目を閉じる。
「じゃ、こうしてもいいんですよね?」
そして、ボクはイリアの拘束具を外した。
「はて、なにをしているのじゃ?」
フィサフィーの目が殺気に満ちる。
「え?」
イリアが驚く。
「僕、SMは趣味じゃない。
無理やりセックスしても多分気持ちよくない」
「主はワシに逆らうというわけじゃな?」
「うん。
貴方は信用できない。
わかんないけど、そんな気がする」
「ほうほう。
わかったボク。
主を殺す!」
フィサフィーの一撃をイリアがナイフで防ぐ。
「小娘が!?」
フィサフィーが次はイリアに向けて炎の刃で斬りつける。
イリアは、大きく後退しその刃を避ける。
「そこの君!
ボクだっけ?ありがとう」
イリアが笑う。
「うんん。
これからどうしよう?」
ボクは苦笑いを浮かべる。
「とりあえず逃げよう。
手を貸してくれる?」
イリアの提案にボクは手を差し出す。
「うん?」
イリアはボクの手をぎゅっと握りしめる。
「ワープ!」
イリアの言葉とともにふたりは姿を消した。
「逃げられたじゃと……?」
フィサフィーが驚く。
そして、言葉を続ける。
「まぁ、よかろう。
お楽しみはこれからじゃて」
フィサフィーの笑い声だけがそこに残った。