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 朝食を食べ終えたボクは、白銀に連れられ森に向かった。
 森は、深くひとりだと迷うくらい複雑だった。

「あのここは?」

 ボクは不安な表情を浮かべ白銀に尋ねた。

「ここは森だよ。
 ただ普通の森」

「ここで修行するのですか?」

 ボクの質問に白銀が白い歯をみせて笑う。

「そうだね」

「歩法でしたっけ?」

「そう!歩法・護りの章~逃げの形!
 ただひたすら攻撃を避ける、歩法の基本の形で最も難しい技さ」

「ボクはなにをしたらいいですか?」

 ボクの質問に白銀がうなずく。

「そうだね」

 白銀が刃物でボクを襲う。

「わー」

 ボクは、慌ててその刃物を避ける。

「ん!合格だね」

「え?」

「これを何度も繰り返す」

 白銀は何度も何度も刃物をボクの方に向けては斬りかかる。

「え?え?」

「うん、攻撃を避ける筋はいいぞ」

「えっと?」

「でも、油断すると……」

 カコン、ボクの頭に木の棒が当たる。

「痛い」

 ボクが思わず声を出す。

「戦場で当たれば痛いでは済まない。
 死ぬね。普通なら一撃で死ぬこともある。
 でも、君の場合死ぬだけではすまない。
 敵を強くさせるね。だから戦場に君は出せない。
 だけど、どこで戦場がはじまるかはわからない。
 だから僕は君に歩法を授ける。
 君は君を護れるだけの技術と能力を身につけてもらう」

「えっとまず攻撃をやめてください」

 ボクの願いを白銀は笑顔で返す。

「や・め・な・い・よ」

 白銀の攻撃がさらに早くなる。
 ボクは、それを避ける。

「えー」

 ボクは白銀の斬道が何故か見えた。
 見えるのなら攻撃を避けれる。

「お?」

 白銀は、少し楽しくなる。

「白銀さん、楽しんでます?」

「うん、君は凄ね。
 これだけ攻撃を避けても息切れしない」

「そうなのですか?」

「でも、これならどう?」

 白銀は、ボクの腹部を蹴り上げる。
 そして、ボクの頭を蹴り落とす。

「ぐへ」

 ボクは、顎を強くぶつけ意識が失いそうになる。
 でも、ボクはすぐに意識を取り戻し素早く白銀から離れる。

「ん?君はもしかして……」

「なんでしょう?」

 白銀は、刃物を鞘に収めた。

「君は、フィサフィーとあったと言っていたね。
 そのときに何かされた?」

 ボクは、素直に白銀にフィサフィーにされたことを話した。

「――で、なんか僕は不死の力を得て16歳以上歳を取らないらしいです」

「不死の力……そうか、それは大変だ」

「え?」

 ボクは、白銀の表情に不安を覚える。

「つまり君が悪人に捕まれば、不死の力を利用されて無限にレベルアップさせてしまうんだ。
 拷問される可能性もあるね」

「……え?」

 ボクの頭が一瞬で真っ黒になる。

「君は危険だね。
 でも、安心してくれたまえ。
 君は自分の身を守れる力を僕が授けるから」

 ボクは思った。
 白銀は信用できる大人なのだと。

 

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