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そして、その日……
僕は、はるかさんの家に泊まった。
でも、押し倒す勇気はなかった。
初めて会った人と肌を重ねるのもなんだか気が引ける。
だけど、手を繋いで一緒に眠った。
そして、僕たちは一緒に出社した。
はるかさんとは、同じ職場で同じ部署。
仲良くなれたのはあっと言う間だった。
1年が過ぎ……2年がすぎる。
そして、3年が過ぎようとしたとき……
僕は、はるかさんに呼び出され会社の屋上にいる。
「猫鍋さん」
はるかさんが、頬を赤らめて僕の目を見る。
少し様子がおかしい。
いつもは、『猫くん』と下の名前で呼ぶのに……
「好きです」
はるかさんが、静かに言葉を放つ。
好きか……
って、好き?
僕の頭が混乱する。
「え?」
「これ、受け取ってください!」
これなんかのいたずらかな?
でも、はるかさんは、そんないたずらをするような人じゃない。
そしてなにより、僕は今まで女の子に好かれたことなんて一度もない。