07
会場を出ると、はるかさんが嬉しそうにはしゃぐ。
「ラーメン!ラーメン!
猫くん、美味しいお店知ってるの?」
「いや……
知らない」
「じゃ、私のおすすめの店紹介するね!」
「うん」
「じゃ!こっちこっち」
はるかさんは、そう言って指差す方に進んだ。
手を繋いだまま……
ちゃんと女の子と手を繋いだことは、これが初めて。
女の子と手を繋いで歩くのって、結構難しい……
そして、僕が案内されたのは小さなラーメン屋だった。
「ここ安くて美味しいんだよ」
「そっか、よかった」
僕が、そう言うとはるかさんが、ニヤリと笑う。
「あー、もしかして高い店紹介すると思った?」
「少し……」
「いくら私でも初対面の人に、高い店を紹介したりしないよ」
はるかは、そう言って楽しそうに笑った。