17
ボクは、ゆっくりと案内された場所に清空と共に向かった。
座来栖と13は、別件の仕事があるため清空とふたり。
静かなる空間。
「13くんって凄いですね」
何かを話さなくてはと思ったボクが放った言葉に清空は笑顔で返す。
「そうだな。
銃の腕は座来栖を超えるだろうな」
「そうなのですか?
僕と同じ歳なのにあんなに凄いなんて、やっぱり生まれ持っての差って違うのかなー」
ボクがそういって遠くを見る。
「浮かない顔を浮かべてどうした?少年!?」
若い男の声がボクの耳に届く。
「え?」
ボクは、周りを見渡す。
しかし、このあたりには人影はない。
そして風と共に現れたのは銀髪に赤い眼が特徴の美青年だった。
「こいつの名前は水道白銀。
こう見えてものすごく強いぞ……」
「『こう見えて』は酷いな。
でも、強いことは否定しない!」
白銀は、小さく笑うとボクの方を見た。
「えっと」
「鋼 ボクくんだね!」
「はい」
「予めいっておこう。
君は強くはなれない。
転生者の中には転生無双と言われるくらい強くなるものもいる。
異性にもモテて自分も強くて、もうウハウハ生活が待っているだろう。
だが、ボクくんは違う。
君は……」
「壁人間ですか?」
ボクが小さく言った。
「壁?いや君は壁にはなれない」
「え?」
ボクは驚く。
「君の肌は脆い。
だから壁には向かない」
ボクはひどく落ち込む。
「だが、魔力量は非常に多い」
「はい」
ボクは、なにかに役に立てるのかと期待に満ちる。
「君の場合魔力依存の魔法より魔力量依存の魔法を目指すといいだろう」
「それは、どんな魔法ですか?」
「持続系魔法と言われ魔力供給を続ける限り放ち続ける魔法さ」
ボクにはいまいちピンと来ない。
すると清空が答える。
「例えば、そうだな。
何か作ってを操る魔法とかだな」
するとボクは思った。
「それってゴーレムとかですか?」
「そうだな。
クラスで言えば、ネクロマンサーやゴーレム使いなどがそうだろう」
「僕はそのクラスを目指すといいんですか?」
「ネクロマンサーもゴーレム使いも高い魔力と技術が必要なんだ。
簡単になれるものじゃない。
そして君の場合、ダメージを与えたモノに大量の経験値を与える能力だからね。
君がまずすべきなことは、ダメージを喰らわない技術をつけることさ」
「ダメージを喰らわない技術?」
白銀が見せる白い歯にボクは不安げに尋ねた。
「逃げることさあとは攻撃を避けること」
清空がそういうと白銀が答える。
「そこで君には『歩法』という技術を教える」
「歩法?」
聞きなれない言葉にボクは不安げな表情を浮かべる。
「間合いを制すモノは勝負を制す!」
白銀は、そういって親指を立てた。