16
――村長の家
「しゃもじい、新人連れてきたぞ」
座来栖が、そういって老人にボクを紹介した。
「うむ。
わかる、わかるぞ。
ワシにはわかる」
「この爺さんの名前はしゃもじい。
この村の村長さ」
「え、あの……よろしくおねがいします」
「うむ。ワシにはわかる。
主は狩られるもの側の人間じゃな」
しゃもじいが、そういってうなずく。
「狩られるもの側?」
ボクは、首をかしげる。
「ああ。
ワシはレベルアップ仙人でな、目に映るモノそのものの能力を見極めることも出来る。
また、その名前の通り能力を解放することもでいるのじゃ」
「じゃ、僕も強くなれますか?」
「無理じゃな」
しゃもじいが即答した。
「え?」
「主の能力を数値化すると。
力は1、魔力も1で体力も1じゃ。
防御力や魔法防御力は3。
じゃが、耐久力と魔力量は無限じゃ」
「無限って凄いですね」
ボクは思った。
要は壁キャラなのかと。
そう思うと少し切なくなった。
でも、それもまた自分らしいとも思った。
「じゃが、レベルは1。
なんじゃこの滅茶苦茶なステータスは……
人間が出来る能力の解放レベルの問題じゃないぞ?」
ボクは、フィサフィーという老人の話をした。
その老人に咎人の印を消して貰ったことを……
「フィサフィーか、厄介なヤツに見つかってしまったんじゃな」
「そんなに怖い人なのですか?
そうは見えなかったのですが」
「ヤツは温厚な老人のように見える。
神族じゃからな、人間の不安を取り除くことができるのじゃが……」
「はい」
「いや、主は知らなくてもいいことじゃな」
「そうですか」
「……で、ボクはどこに預けましょうか?」
座来栖の問いに清空が答える。
「ウチで預かろう。
そして、育成は白銀に任せる」
「白銀か……
それがよかろう」
しゃもじいがそういって小さく笑う。
そして、ボクは詩空孤児院で暮らすことになった。