15
ボクは、座来栖と出会い。
13とも出会い。
その大地を踏み込む。
「ようこそ。
パンドラの村へ」
13がそういって小さく笑う。
「あ、はい。
お邪魔します」
「これからは、こういうときは『ただいま』でいいんだぞ?」
座来栖の言葉にボクは、嬉しかった。
家族からも無視され、学校のクラスメイトからも避けられ。
ボクは、この言葉を忘れていた。
「ただいま」
ボクの心が暖かくなる。
ただいまって安らぐ。
「おかえり、ボク」
そして、思う。
おかえりって暖かい。
「……その子は、誰じゃ?」
そういって現れたのはショートカットにセーラー服を着た女子高生風の女の子。
瞳は、ボクと同じ金色だった。
「この子の名前は、鋼 ボクだ。
清空さんのところでお世話してもらおうと思っているんだが……」
座来栖が、そういった。
「金色一族とこんなところで、出会うとは思わなかったな」
彼女の名前は、詩空 清空。
詩空孤児院の院長を務めている。
「だが、コイツはちょっと訳ありなんだ。
フィサフィーと接触している」
「そうか。怖かっただろ?
生きていてよかった」
「あの……」
ボクは話した。
フィサフィーにかけられた呪いのことを。
「そうか、咎人だったのか」
清空は、顎に手を当て考える。
「ここにいたらダメですか?」
ボクの言葉に清空が微笑む。
「大丈夫じゃ。
ボクは、転生者か?」
「転生者?」
「前世の記憶を持っているかどうかじゃ」
「持っています」
「だから、咎人の印があったんじゃな」
「はい、でも。
その咎人の印はフィサフィーって人に消してもらいました」
「そうか主からは、巨大な魔力量を感じる。
じゃが、魔力はない。
魔力量を代償に魔力を持って行かれたんじゃな」
「どう違うんですか?」
「魔力量っていうものは、魔法を放つ容量のことじゃ。
魔力は、魔法の威力のことじゃ」
「そうなのですか。
ありがとうございます」
「咎人は、前世で何らかの罪を行ったものが受ける裁きじゃ。
その罪を償いきったとき真の力に目覚めるのじゃ」
「真の力……」
自分が行った罪とは、自殺のことだろう。
それは、どうやって償うのだろうか?
ボクにはわからない。
「じゃが、咎人の印が無いってことはすでに目覚めているはずなのじゃが」
ボクは、自分を攻撃した人たちが口々にレベルアップしたと叫んでいたことを。
そして、不死の力を得たことも伝えた。
「そうか、主の真の力とは経験値付与の能力か」
清空は、更にうーんと唸った。
「経験値付与かそれに不死」
「あのやっぱり迷惑ですよね」
ボクは悲しい声を出す。
「この里にいれば、呪いなどの魔力は一切消える。
つまり、主を殴ってダメージを与えても私たちの経験値は増えない。
だから、むしろ主はこの村に来たのは正解だといえるな」
清空のその言葉に安心感を覚えたボク。
「まぁ、とりあえず村長のところに連れて行こう」
座来栖の言葉に清空もうなずいた。