第三十話
【イタイ!】モヒカン集団以外のどこかで音がした。
「俺たちのからだにいったい何が起こっているんだ?」
「ほら、アタシの神痛力が効いてきたわ。神に反抗した代償よ。無謀な選択をした人生の列車には、壊れた橋げたが待っているのよ。」
しかし数秒後、モヒカン全員が気迫に満ちて立ち上がった。
「全身の筋肉に力が漲るようだ。こんな充実感は生まれて初めてだ。不随意筋まで操れる感覚。広い荒野に俺の行く手を阻む者は存在しない。今なら誰とケンカしても負ける気がしねえ。」
モヒカン集団は、学ランの上からでもわかるような堂々たる肉体美を誇示している。
「ちょっと、様子がおかしいわ。ヤツらは全身骨抜きされて、タコのような筋肉の、オタクもやし族になったはずなんだけど。」
「そこのアマ。さっきの落とし前を100万倍にして、返してやるぜ。オッパイはねえけど、よく見ると、けっこういいツラしてるじゃないか。死なない程度に気絶させたら、たっぷりとかわいがってやるぜ。やっちまえ!」
モヒカン集団が一気に楡浬のもとにダッシュ。瞬時に高速された楡浬。
「きゃああ。どうしてこうなっちゃうのよ~。」
「いい響きだぜ。こういう声は下半身に刺激的だぜ。ぎひひ。」
モヒカン全員の手がアメーバーのように不気味に蠢いて、楡浬のからだを狙って近づいていく。
「や、やめなさいよ。いや、いや、いや~!」
「いいねえ。いいねえ。これを待ってたんだぜ。弱者女の悲鳴は脳髄を心地よく刺激してくれるぜ。まずはボコってやれ!」
「や、やめて~!!!」
河原中にこだまする楡浬の悲鳴。スカートの下から生暖かな液体が漏れている。紙おむつが必要なのは楡浬かも?
「お待ちなさい!不届きな行為はオレが許しませんわ。」
ふたつのメイド服姿。向かい風に髪を大きく揺らしている。