第二話 冒険者登録できました!
僕は冒険者登録の手続きを行っていた。
横にはキーもいるが、彼女は既に冒険者登録を済ませてあったらしいから手続きを行うのは僕ひとりだ。
一枚の紙に必要事項を書いていく。
名前、性別、種族……。ん? スキルは書かないでいいのかな?
「すみません、スキルって書かないでいいんですか?」
「いえ、このスキルを看破する結晶に手をかざしていただきます。名前などは偽られても構いませんが、スキルは直接冒険者としての素質に関わりますので……」
なるほどな。まあ、スキルを看破するとか言ってもどうせ看破できないんだろうけ――
「『創造』ですね? 聞いたことないスキルです」
えぇぇぇえええええーーーーーー?
バレてるぅ?
僕は驚きを隠せず、引きつった笑みを浮かべる。
何だよ! ステータスを偽れるんじゃないのかよ!
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ステータス偽装:「鑑定」を受けたときのステータスを偽ることができる。
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偽れるの「鑑定」だけだったの? ねえそうなの?
どうやらこのスキルを「創造」したときに無意識下で対象を「鑑定」だけにしてしまったらしい。
「『創造』ってどういうスキル何ですか?」
手続きをやってくれてたお姉さんが聞いてくる。
「え? どういうスキル? えーあー、武器を作れるスキルですよ。アハハハハ」
「ええ! それって鍛冶屋になるべきじゃないんですか?」
えっ? あぁその手もあったか。
冒険者ライフに余裕が出てきたら副業でやってもいいかも。
けどここでうまく返せないとまずいな。よし。
「『創造』の本質はそこじゃないんですよ。場合によっていろんな武器を使い分けられますし剣が折れても即座に新しいものに変えられる。矢などを撃つのにも本数などに限りはありませんし――」
僕は熱弁を奮う。ここでごまかせないと本当にまずいからな。
「あ、はいわかりました」
お姉さんが若干引いたような顔をしている。どうしたんだ? まあいいや続けよう。
「――『創造』には『想像力の限り』っていう条件がつくんですよ。ですから冒険をして多くの武器を見ることによって作れる武器の種類も――」
「わかりました! わかりましたからもういいです!」
突然声を荒げてどうしたのだろう。
まあともかく納得してくれたらしいし万事おーけー。
無事に冒険者登録ができました!
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次はパーティー登録だ。
揉めると困るからパーティーなどは事前にギルドで登録しなければならない。
パーティー外とはできる限り不干渉。2つ以上のパーティーで同時に行動しても利益は全て各パーティーごと。
つまりここでキーとパーティーを組まないと一緒に冒険ができなくなってしまう。
「ではここに必要事項を記入してください」
必要事項は名前と職業だけだ。
職業というのは「冒険者」ではなく、その中の役割だ。俺で言うと「剣士」、キーで言うと「精霊術士」だな。
この紙にはリーダーや揉め事の解決法なども書くことができ、明記しとくと揉めたときに解決が楽になるらしいが2人のパーティーにそれは不要だろう。
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パーティーメンバー1:アーツ・バスラ(剣士)
パーティーメンバー2:キー・リトリ(精霊術士)
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以上! 完了! 簡単な作業だった。
よし、早速冒険だ!
「ダンジョン」はまだ難易度高くて無理そうだから近くで小手試しだ。
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僕たちは僕の家にいた。
僕は随分と前に両親が死んでるから一人暮らしだ。幼なじみのひとりやふたり、家に上げても問題ない。
ん? 問題ないよな? ないよね?
「うわぁ、アーくんの家久しぶりだなあ」
キーの家は隣だが、ここ数年はあまり遊ぶ機会がなかった。
前に見たときはこんなに胸大きくなかったし。
「よし、早速装備を創ろう!」
「おーっ!」
そう、今回家にキーを上げたのは武器を創る為なのだ。
冒険に行こうと思ったが、武器がないことには始まらないということに気が付いた。
まずは自分のから取りかかる。
剣がいいかな取りあえず。「武術適性(剣)」持ってるし。魔法の方はキーの「精霊術」で代用できるしいいだろう。
「精霊術」っていうのは精霊との契約が必要な変わりに魔法より強力な技が魔法より多くの回数使える。
さらに魔法より優れている点は、精霊の強さに応じて技も強くなりという点だろう。自分の魔力量に比例した強さの魔法しか撃てない魔法よりも優れている。
まとめると、魔法の優れた点はスキルを手にしてすぐに使えること、精霊術の優れた点は強いものをたくさん撃てることだ。
話がそれた。
取りあえず素材はオリハルコンっと。オリハルコンは丈夫で魔力の通りがいいからな。こっそり魔力流せば強化できる。
(作成中。しばらくお待ちください)
「よし、できた!」
マジでこのスキルチートだな。
こんな良い剣始めてみたぞ。
オリハルコンとか幻の存在だと思ってたし。
「さあ、キーはどんなのにする?」
「精霊が入れる杖が良いなぁ」
そう、契約した精霊は基本的に契約者の武器に宿るのだ。例外はあるが……。
取りあえず入れないのは論外。
精霊は魔力の通りがよくないと入れない。必然的に素材はオリハルコン。
……金属の杖ってどうなの? と思わないこともないが。
(作成中。しばらくお待ちください)
「よしできた!」
オリハルコン製の杖を木でコーティングしたらそれっぽくなった。
「これなら魔力の通りが良いから精霊の居心地も良いだろうし精霊術も無駄なく撃てるから威力ましましだと思うよ」
魔力の通りが悪い杖だと抵抗が強くてどうしても魔法の威力が落ちてしまう。
これは素晴らしい杖だ。
「わーい、ありがとうアーくん!」
キーも大喜び。
もう遅くなっちゃったから出かけるのは明日にするか。
俺とキーは昔のように「また明日」と言って別れた。
何だか懐かしい気持ちになった。