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第一話 実は僕、神でした

 この世には「スキル」と呼ばれるものが存在する。
 それは、生まれたときから誰もが必ずひとつ持っているもので、あるとき不意に自覚して使えるようになる。
 「鑑定」というスキルを持っている者に調べてもらえばその時がこなくても使えるようになるのだが、それはひとまず置いておく。

 スキルは必ずバランスを保っており、通常はアタリ、ハズレはない。
 自分のやりたいことと違っていたりしたら落胆はするだろうが、その強さ自体は変わらないのだ。必然的にスキルの上位互換や下位互換は存在しない。

 僕は14歳になったときに、例に漏れず不意にスキルを自覚し、そして戸惑った。
 誰もが例外なくひとつ持っているハズのスキルを2つ(・・)持っていたのだ。

 そのスキルは「創造」と「鑑定」。

 スキルを自覚した僕は「鑑定」スキルを使って自分を見る。

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名 前:アーツ・バスラ
性 別:男
年 齢:14
種 族:神
職 業:創造神
スキル:「創造」「鑑定」
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 ん? 神? などと思いながら僕はさらにスキルを鑑定する。

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創造:想像力の限り、あらゆるものを作り出すことができる。
鑑定:あらゆるものを詳細に見ることができる。
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 えっと? つまり? 僕は神だからこんなチートみたいなスキルを持っているってこと?
 ってことは、「鑑定」は俺が無意識のうちに「創造」で創り出したスキルってことだろう。思えばそんな妄想をしたことがあった。

 ……控えめにいってやばいなこれ。

 スキルすら作り出せるってことはもう最強じゃね?
 いや、これだけ強ければ何らかのリスクはあるんだろうけどさ。

 取りあえず僕はいろいろとスキルを作り出して見ることにする。

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名 前:アーツ・バスラ
性 別:男
年 齢:14
種 族:神
職 業:創造神
スキル:「創造」「鑑定」「不死」「魔法適性(全)」「武術適性(全)」
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 え? マジでこんなスキルも作れちゃうの?

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不死:このスキルを持つ限りいかなる手段を持っても生命を絶つことはできない。
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 これで自分よりも格上の相手と戦っても、不意打ちにあっても殺される心配はないね。

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魔法適性(全):全ての種類の魔法に適性を持つ。
武術適性(全):全ての種類の武術に適性を持つ。
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 普通は「魔法適性(水)」とか「武術適性(剣)」とか限られた属性にだけ適正を持つんだけど……。
 だけど、これだけだとあくまで適性を得るだけで経験は得れないからしっかり鍛錬をしなければ同じスキルを持つ人間には勝てない。
 ……他のスキルを併用すれば勝ててしまう気がするけど。

 取りあえずこんなチートスキルを持ってることが知られたら大問題になっちゃう。正しいと思われてた「全てのスキルの強さは変わらない」っていうのが根本から崩れてしまうからね。
 あと、僕が神だってことが知られてもまずいことになる。

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ステータス偽装:「鑑定」を受けたときのステータスを偽ることができる。
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 よし、このスキルさえあれば怖くないね。
 上位互換スキルとかが存在しないから『「鑑定」を受けたとき』って明記されてる以上誰にも僕の偽らざるステータスを見ることはできないはずだ。

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名 前:アーツ・バスラ
性 別:男
年 齢:14
種 族:人間
職 業:狩人
スキル:「武術適性(剣)」
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 年齢だけは自動で変わるようにして残りは固定にしておいた。
 これでステータスが勝手にもとに戻っちゃうことはない。
 そしてこのステータスなら冒険者登録して活躍しても「武術適性(剣)」のお陰だと思われるだろう。ここまで強いと冒険者として稼ぐのが一番確実だ。

 ……リスクがないのか心配だからできるだけ新しいスキルを「創造」しないようにしておこう。

 さて、まずは冒険者登録するために冒険者ギルドに行こうかな。

 ▼

 冒険者ギルドは喧騒に包まれていた。
 噂通りだ。

 さあ、冒険者登録しようか、と思ったところで下卑た笑い声が聞こえた。

「ようそこのお嬢ちゃん、俺達と遊ばねえ?」
「せいぜい可愛がってやるぜえ?」
「「「「ギャハハハハハハハ」」」」

 4人がかりでひとりをよってたかって迫ってる。

 ん?囲まれてるの僕の幼なじみのキーじゃん。

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名 前:キー・リトリ
性 別:女
年 齢:14
種 族:人間
職 業:冒険者[精霊術士]
スキル:「精霊術適性」
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 なかなかに良いスキル持ってるなあ。
 まあ、精霊術って契約が必要らしいからまだ使えないと思うけど。
 キーは気弱だからあの変態どもに言い返せてないな。
 よし、助太刀に入るか。

「おい、変態ども、俺の幼なじみに手ぇ出してんじゃねえ」

 ちょっと棒読みっぽくなっちゃった。
 俺に正義の味方は似合わないかも。

「ああん?なんだてめぇ?調子乗ってんのか?」

 無事ターゲットは俺に変わったらしく、4人がかりで俺を囲んでくる。
 「武術適性(剣)」しか使えないのが難点だけどこいつら大して強くなさそうだし余裕で勝てるだろう。

 ひとりが殴りかかってくるのをかわして腹に蹴りを入れる。
 そいつが持ってた剣を拝借して残りを同時に殴り飛ばす。
 それだけで4人はKOした。

「ありがとう! アーくん」

 キーがお礼を言ってくる。
 アーくんていうのは俺のあだ名のこと。今となっては恥ずかしいが、キーが呼び方を変えてくれないから仕方がない。

「ケガはないか?」
「うんっ」
「お、そうだ、俺とパーティー組まないか?」

 精霊術なんてレアなスキルを使える上に古い付き合いだから気兼ねなく話せる貴重な人材だ。そして何より可愛い!

 後ろでツインテールにされた透き通った水色の髪と、同じ色の瞳は何となく儚げで、顔のパーツが整っていることもありとてつもなく美しい。そして童顔で巨乳。

 こんな幼なじみと一緒に冒険ができたら楽しそうだ。

「うんっ、いいよっ」

 キーは満面の笑みで俺の質問にそう返してくれた。

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