暇つぶしの遊び
土曜昼頃、やっと彩楓が起きてきた。彩楓は、
「はよー。何してんの」
と言う。俺は、
「んあ?ネトゲ」
と答える。実際ネトゲをしていた。彩楓は、
「どっか遊びに行こう」
と言い出す。俺は、
「何で?人込み嫌い。人多いのウザイ。めんどくさい」
と言う。彩楓は不満そうな表情で、
「えーーー。いいじゃん。どっか行こうよ」
と言う。俺はいたって真剣に、
「あのなぁ。行くったってどこ行くんだ?目的意識をもって生きないと、人生なんとなくで終わっちゃうぞ。遊びに行くところなんてろくでもない場所だろう」
と言う。彩楓ははぁと溜め息をつき、
「何で説教されなきゃいけないの・・・・・ていうか、それ前に親にも言われたし。遊びに行くところって、とっても楽しいとこじゃん」
と言う。しつこいなこいつ。だったらもう奥の手か。俺は、
「宿題は?」
と尋ねる。彩楓はない胸を思いっきり張って、
「もうやった。昨日アニメ見ながら」
と言う。俺は、
「阿呆が!なんでアニメ見ながらするんだ。アニメはながらで見ちゃいかん」
と言い返す。言い返すも何もあったもんじゃないが。彩楓は、
「突っ込むとこそこ!?」
と驚いている。
なんだかんだで遊びに行く羽目になった。駅にいると、突如として彩楓が、
「で・・・どこ行くの?」
と言う。
「帰る」
と俺は言い駅から出ようとする。彩楓が思いっきり俺の腕をつかみ、
「ま、待って!」
と叫ぶ。あまりに大きい声だったので、周囲の人たちの視線が集まる。俺は、
「はぁ・・・・・・」
とため息をつく。こりゃ大人しくついてくしかねえな。
夜、俺は疲れ果てた身体をソファに沈める。ローテーブルに置きっぱなしの漫画を手に取り、読み始める。それはアニメ化もされた競技かるたの漫画だった。以前から結構はまっている漫画で、書店から取り寄せている。俺がのんびりと漫画を読んでいると、背後から、
「あ。『ちはやふる』だ。へぇー。この家にあるんだ」
と彩楓の声が聞こえる。だがそれに返事をする気などさらさらない。俺は漫画に全神経を集中させる。暫くすると、周囲の音が気にならなくなった。だんだん気持ちが和らいでくる。そして、俺が眠りにつくのに然程時間はかからなかった。