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兼藤健資の考察

俺は惣賀真心の事が好きなのだろうか。

入学式の日、彼女を見て、不思議な感覚に襲われた。あれはいったい何だったんだろうか?あれが恋と言うものだろうか。人を好きになったことなどない俺にはわからない。だが、なんとなく想像がつく。真心との距離が近いとどうも落ち着かないし、彼女が鴻城と話をしているだけで妙に胸がムカムカする。こんなことで恋だと言い切れるのだろうか。俺は、少しグーグル先生に頼ってみる。『心 ムカムカ 』と検索してみるが、《もしかして:恋》と出るわけもなく、ストレス解消法のサイトなどがヒットしただけであった。じゃあ恋ではない。という結論に至った。

私がクイズ研の部室にいると、ドアがガラリと開く。振り向くと、
「なんだ。鴻城先輩ですか」
と私は言った。鴻城先輩は、
「何だとは失敬な。あ・・・・お目当ては健資ですか」
と言う。私はため息をつき、
「はあああああ。私も健資って呼びたい・・・・」
と言った。鴻城先輩は、
「ははは。呼んでみたらどうです?」
と言った。私は、
「そ、そんな・・・いきなり変です・・・・」
「よう。早いな」
言いかけた言葉を兼藤先輩が遮る。鴻城先輩が、
「健資。惣賀さんが君に話があるそうだよ」
と言う。や、やめて・・・・。兼藤先輩は怪訝そうに、
「何だ?」
と言った。私はやや緊張しつつ、
「あの・・・その・・・なんというか・・・健資って呼んでもいいですか」
と言う。兼藤先輩は、
「別にいいけど・・・俺も、真心って呼んでもいいか?」
と言った。私は、
「はい!」
と返事をする。なんかうれしい。

真心・・・・と呼ばなけりゃいかんのか。なんか緊張する。というか、ドキドキが止まらない。やっぱりこりゃ真心の事が好きだな。間違いない。

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