11
翌日、雨にも関わらず僕は傘を差して待っていた。
こんな雨の日に来るわけないとは思っていたが待たずにはいられなかったのだ。
そのせいか、僕は風邪を引いてしまった。
翌日、学校を休んだが『春小町桜』のもとへ行くのはやめなかった。
桜の木の下でハアハア言いながら本を読んでいたら、僕のやって来た道とは反対側の草むらがガサガサと音を立てた。
僕はやっと逢えると勢いよく立ち上がり、倒れた。
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「~~~」
何か懐かしい歌が聞こえる。
鼻歌を聞いて、僕は目を開いた。
「わあ!」
僕はあんまり近くにある顔に驚いて声を上げた。
膝枕されていたようで、慌てて退いた。
「気がついた?」
よく見るとそれはクラスメイトの原田 也実。
「原田、お前が春小町?」
「違うけどそうかな。」
意味不明な返事に首をかしげて訊ねた。
「どういう意味?」