10
「千七百円……」
ボソリと呟いたら店員さんはニッコリ笑った。
「残りはその女の子と一緒に買い物に来てくれるだけでいいから。」
そう言って、箱に入れて可愛くラッピングしてくれた。
「ありがとうございます。」
深く頭を下げて店を後にする。
早く戻ろう。
再び丘を駆け上り、深呼吸を二度、三度と繰り返した。
手に持っていた袋から買ったリボンの包みを出してどうやって渡そうかと考える。
「やっぱり直接謝って渡すのがいいよな。」
一人呟いて頷いた。
それから三時間僕は本を読みながら春小町を待った。
しかし、いくら待っても誰も現れない。
とうとう今日は諦めて帰ることにした。