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鼻歌を歌いながら丘を下る。
草に絡まれながら『春小町桜』の方を見ると、リボンが風に舞って煌めき綺麗だった。
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翌日、学校で帰り支度中に珍しく友人の前田 法が声をかけてきた。
「いつもさっさと帰ってるけど何か面白いことがあるのか?彼女ができたとか?みんな気になってるみたいだぞ。」
「代表で聞きに来たのか?」
「そういうこと。」
「残念ながら彼女ができた訳じゃない。でも春小町とのデートかな。」
「何だそりゃ?」
「解らなくていいんだ。」
僕はそう言い置いて教室を後にした。
学校からは『春小町桜』まで歩いて十五分。
『日本の伝説』はまだ三十ページしか読んでないから早く読みたくて早足で『春小町桜』に急いだ。
『日本の伝説』が予想以上に面白かったから早く読みたくてウズウズしていたのだ。
いつものように草をかき分け、桜の木の下を目指す。
と、指先にチクリと痛みが走った。