6
「何だ、リボンか。」
空飛ぶ蛇か何かだと思っていた僕はリボンを桜の木の枝に結びつけた。
そして、いつものように読書を開始。
今日読もうとしているのは『日本の伝説』という本だ。
題名の通り、日本各地に伝わる伝説が書かれた本で、もしかしたら『春小町桜』に関係したことが書かれているかもと思ったのだ。
日本全国のことが書かれているだけあり、とても分厚い。
「桜が咲くまでには読めるかな。」
そう独り言を呟き、本に集中する。
本を捲る音と草が風に吹かれて奏でる音だけが耳に入る。
どれくらい経っただろう、遠くで夕方のチャイムが鳴っている。
「あれ、いつもは聞こえないのに……」
風向きがいつもと違うんだろうなと一人納得して本をバッグにしまった。
腕時計を確認して苦笑い。
五時のチャイムが鳴ってからまだ数分しか経っていないのに、いつもの癖で時計を見てしまった。
「さて、晩御飯は何かなー」