5
読んでみてわかったことがある。
おじいちゃんの恋はわかったが、どうやれば素敵な人と出逢えるかはわからないということ。
でも、僕はいい読書の場所を見つけたと思い、それからちょくちょく桜の木の下に来るようになった。
誰も来ないし、静かだし、風は心地よいし、ぽかぽかしているし……
────
それから半年。
今日も何となくで桜の木の下に来ている。
桜の蕾が膨れ、もうすぐ咲いてもいいかなと問いかけているようだ。
僕はこの半年、いろいろ調べてみたが『春小町桜』のことはわからずじまい。
それでも気持ちは『春小町桜』に囚われたままだった。
と、いきなりにょろにょろとした物が風に乗って僕のところにやって来た。
思わず捕獲。
何だろうとよく見てみると、それはピンク色のリボンだった。