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おじいちゃんは嬉しそうにそのノートを受け取り、最初のページを開いて笑った。
「春小町さんとの交換日記だ。」
「春小町さん?」
僕が訊ねるとおじいちゃんは頷いてそのノートの最初のページを見せてくれた。
そこには、数式が幾つか書かれてあり、その最後に
『忘れ物です。春小町』
と書かれてあった。
「春小町さんってあの春小町さん?」
「そうだよ。」
「両想いになれるっていう?」
「そう。」
「もしかして声も聞いたの?」
「声も聞いたし、両想いになったぞ。」
僕は興味津々でおじいちゃんにお願いした。
「おじいちゃん、その交換日記読ませて。」
「こんなもの読んでどうするんだ?」
「もちろん春小町さんの声を聞きたいんだ。どうすれば春小町さんが現れるかヒントがあるかもしれないから。」
「多分、参考にはならんと思うぞ。」
そう言いながらも僕に日記帳を貸してくれた。