第2話
ここは、何処だ。毛みたいな、なんだこれ。
「お前が出稼ぎに来た、人間の新入りか。1人と聞いていたが、2人でもまぁ、問題はない。しかし、パンダの上で待っているとは、奇特な奴だな。服装も変わっている」
「……」
自分がパンダの上に乗っている事実と、彼が中華風の服を着て、彼の頭にはうさ耳が生えているのを目の当たりにして、春樹は、何も言えなかった。
「ほら、早く着いてこい」
言われるがままに着いて行くと、豪華すぎる部屋に連れて行かれた。
「中に、服があるから、着替えてこい。私は、ここで待っている。名は、白瑛だ」
「白瑛さん。俺は春樹です」
頭をさげると、ぽんと手を乗せられた。
「これからは、私と同僚だ困ったことがあれば、何でも聞け」
彼の言葉は今の春樹にとって、何より嬉しい言葉だった。
「あの、迷惑かと思いますが、服の着方を教えてくれませんか」
彼は、春樹の申し出に、嫌な顔をするでもなく、丁寧に俺は教えてくれた。俺の前髪が長いとヘアバンドのような、頭に巻くものを渡され、前髪を上げる。
「お前は可愛い顔をしているのだな」
「白瑛さんのように、男前な顔に生まれたかったです」
春樹の言葉に、白瑛さんは、豪快に笑い、まるで、子供にするように、春樹の頭を撫で回した。
「行くぞ。我々の仕事は、パンダという動物の世話だ」
白瑛さんの後に続いて、歩くと、見えてきたのは、数十頭を超えるパンダ達の群れだった。