ビギニー町#4
俺はあのこと別れた後すぐにこの世界がファンタジーな世界であると実感した。もちろんエルフや魔法ですでにファンタジーであるがそのせいか、いや、必然的にもちろん生息している生き物もファンタジーだったのだ。
この夕暮れ時の草原にはもといた世界には居なかった数多くの動物がいた。まず、ファンタジーの代名詞を言っても過言ではない生き物。一つの渦巻状の角をもち白い肌をもつ馬、ユニコーンだ。
正確にはユニコーンではなく一角馬《いっかくば》というらしい。それだけではない、他にもファンタジー生物は居る。
ゲームやアニメなどに良く出てきてお馴染みの、毒蛇の尾を持ち山羊の体を持つそして顔は百獣の王、キメラだ。これも名前が異なっており蛇王《へびおう》と呼ばれているらしい。
お次はアニメやゲームなどでは見たことが無い生き物だった。筋肉質な黒い体と頭の横に太く長い角を持つ爆走牛《ばくそうぎゅう》という生き物だ。
草原の中には面白いことに魔法を使い狩りをする生き物も居る。その生き物はきつねの姿をしており、魔法を使って姿を隠してじっと待ち、来たところを10匹ぐらいの群れで襲うとういう手段で狩るのだ。
その生き物の名前は迷彩狐《めいさいぎつね》という。そんな生き物達は強く、面白かったりかっこよかったりすると思うのだが、そう思う反面どの生き物にも襲われたら確実に殺されてしまう、とブルブルと体を震わせながら思っていた。
なので、俺はあのファンタジーな生き物に目をつけられないようにコソコソと草原を走りぬけて前に見える町を目指すのだった。
もちろんこの世界の住民からしたら変な服装と変なものを耳につけている変な人なので前に見えていた町の門の前に着くと、門番にいる検査員みたいなイカツイ男の人が来た。
そしてその男は目の前に来るなり威厳のある低い声で「身分を証明できるようなものは持っているか」と聞いてきた。
もちろんそんな物は持っていないので「持ってない」と俺が答えると、男は指名手配されている犯人の似顔絵が書いている紙を持ってきた。一通り見て俺の顔と見比べると俺に似た顔はなかったのか男の人は「よし、通っていいぞ」と言う。
俺はホッとして門を通り抜けた。
もしも、さっきの指名手配されている犯人の似顔絵の中に俺に似ていたものがあったら、恐らく処刑されてたのだろう。そんな風に思うとさっきのことも合わせてこの世界はおっかないと俺は思うのだった。
町を見渡すとこの町の町並みは工業化は進んでいないのが一目見て分かる景色だった。道はもちろん土で、大きな十字に交差する道の道幅は馬車を基準に目測で計ると馬車三台分といったところだ。
ちなみにこの十字に交差している道に、面している建物は店だけだった。ところどころ店の隣などに馬車一台分の道幅の道路があり、店の後ろには民家が並んでいる。
店や家などはすべて木材でできておりその木材に色が塗装されていないためほぼ全部の建物が茶色で統一されていた。だが、『ほぼ』である。例外もあった。
例外の建物は大きな道のそれぞれの奥にある3つの建物である。3つの建物だけはレンガでできており周りの家や店に比べてかなりでかかった。
奥にある、3つの建物は重要な建物か大富豪の家なのだろう、そう思った俺はさっそく奥の建物を見るとその推測はやはり当たっていた。奥の建物はハイテク機器ことウェアラブル端末によると『ビギニー町役場』という建物らしい。
俺が居ない道の奥にある二つの建物のうち左の建物方を見るとその建物は『冒険者依頼斡旋業者組合ビギニー支店』と表示された。
恐らく名前から察するにアニメやラノベで言う冒険者ギルドというやつだろう。名前が長いな。残った建物を見ると宿屋の場所を調べる手間が省けた。なぜかというと『カリーの宿屋』という名前の宿屋だったからだ。
俺はすぐにカリーの宿屋に向かった。