83.不屈の敵?
黒い炎の巨人は、立ち上がろうとしてる!
あの達美さんと武志さんに、飛ばされたのに。
横倒しから、あきらめてないんだ。
さっき道に転がったカメラは、まだ壊れてない。
巨人から、衝突の音。
七星の光の薙刀だ。
あれは、重さを持つ刃なのかな。
巨人は、その衝撃で体勢を直せない。
そのまま背中で受け止めるしかなかった。
苦しそうに路面にめり込む。
光の刃を持った七星部隊が取り囲もうとする。
さらに遠回りに七星の、異能力のないパイロット部隊も。
達美さんと武志さんも、そこに加わる。
着地して機関砲をかまえる。
そうだ。
「みつき、しのぶ!
いったん、待機していた場所に戻って。
みつきは私と一緒に、逃げたこん棒エンジェルスを攻撃。
みつきは、その場で他の部隊の援護に回って。
盾、と言うかお城の役! だよ」
『みつき、了解。
お城になります』
『しのぶ! 了解!
家がドンドン燃えてるけど、これもこん棒エンジェルスのせい?! 』
しのぶの言う通りだった。
ウイークエンダーを急いで河川敷に着地させる。
飛んだときの風で、家の瓦やいろんな物を飛ばしてしまった。
改めて地上を見る。
また一件、燃え上がった。
その隣も、隣も。
あの巨人が逃がしたこん棒エンジェルスたちだ。
燃える家は何本もの線になって、街をまた破壊して行く。
サイズは3メートルくらい。
連中は、破滅の鎧に薄く魔法炎を張りつけたり、足の裏で上げ底していた。
日本の家は木造だらけだって気づいたんだ。
そこへ潜り込んで魔法炎の出力をあげれば、簡単に燃やせる!!
どの武器を使えばいい?
そう考えて、気づいた。
ウイークエンダーの頭には、無限炉心直通のエネルギー砲の他に、30ミリ機関砲がついてる。
その設定を変える。
巨大な怪獣に撃っても、気を引く程度の威力しかないけど。
熱源探知。
探すのは燃える火事の中の、人型で特に熱い部分。
ドン
1発だけ撃った。
それが、当たった!
熱い人型が、一瞬で地面に叩きつけられた。
「みつき、しのぶ!
使用する武器は機関砲だけ!
単発でやって! 」
聞こえてきたのは、『『ええっ』』と言う不満の声。
「大丈夫!
使える!
さっき九尾 クオさんから聞いたの。
こん棒エンジェルスが使う魔法なら、クオさんたちの力でダメージを直せる!
だけど、こっちの世界の武器のダメージは、消せないんだって! 」
見ると、ブロッサムが地面に伸ばした両手を、引っ込めた。
『『わかった。機関砲だけ使う』』
よし。
こっちはこっちで集中しよう。
でも、映像がハッキリしなくて、見づらい。
家が密集してるから、どうしてもかくれて見えない部分ができるんだ。
ドン ドン
それでも、火事が燃え広がるのは防げてる。
1度は、こん棒エンジェルスを逃したハンターキラーたちが、体勢を立て直したから。
ロボットで家から引きずりだす。
ふたたびキャプチャーに捕らえていく。
だけど、もどかしいほど相手はしぶとい。
アイツらを捕まえる応援がほしい・・・・・・。
なら、巨人の方は?
こっちも、ねばり強い。
それと、あれ?
文華が入った玉が見えない。
巨人がかばったと思ってたあれは、どこに行ったの?