第127話 突然の法術暴走
「どーした?」
ランはその幼い表情を前に苦笑いを浮かべながらかなめは言葉を切り出す。
「久しぶりだぞ!八体目の暴走法術師が出やがった!」
「今確認します」
緊張した面持ちのかなめの後ろで端末を手にしていたラーナが検索を始めた。
「どこだ!どこで出た」
ランも興奮して立ち上がった。
「それが同盟機構本部ビルの正面だそうだ。東都の都心部のど真ん中で法術暴走……やってくれるよ」
かなめの言葉を聞いて一同に沈黙が訪れた。
「そりゃあ暴走とは言わねえだろ?テロだよテロ!政府機関の中央で法術暴走なんてどこかの組織の政治的意図があるに決まってるんだ!」
引きつった笑いを浮かべてランがつぶやいた。その様子をカウラが心配そうに眺めている。
「確かにそれは暴走ではなく爆弾テロみたいなものよ!あんな人通りの多いところで法術師を暴走させたらどんだけの被害が出るのよ!イカレてるわ!厚生局の連中は!」
アメリアの叫び声がカラオケボックスの防音室の中に響いた。
「大っぴらに研究機関の連中が動いたんだ。十中八九厚生局関係の機関の犯行だが……今はアタシ等は謹慎中の身だ。出来る事なんて何もねーよ。まあ東都警察のお手並みを見ようじゃねーか。あそこも先日法術武装隊を発足させたばかりだ。その実力が見れるんだ。あれだけ啖呵を切ってアタシ等を捜査から外したんだからさぞ立派なご活躍をするんだろーよ」
そう言って不敵に笑うランの姿を見て彼女の肝の座り方に誠は感心させられた。