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第13話 別名『18禁小隊』

「カウラ。東都都庁別館までやってくれ、それとこれから見るものは一切他言無用だ。無用な混乱は起こしたくねー。まーこれだけ言えばこれからテメー等が見るもんが結構エグイもんだって想像はつくかも知れねーがな」 

 住宅街から幹線道路へ出ようとハンドルを切る茜を見ながらランははっきりとそう言った。その言葉がこれから誠達が見るものが先ほどの写真を超える恐ろしいものであることが察しられた。

「ランの姐御、ちょっといいか?」 

 後部座席からかなめが珍しく殊勝な口調でそう切り出した。

「なんだ、言ってみろ」 

 助手席にちょこんと座っているランがそう答えた。後ろからまるで見えないところが誠の萌えの心を刺激する。

「アタシをこの車に乗せるのはかえでの事について話すからって言ってたが、かえでの馬鹿があれから出勤してねえのはなんでなんだ?リンもアンもそうだ。第二小隊の全員は今何をしている?屋敷でさぼってるなら連れて来いよ。機動部隊長だろ?アンタは」 

 かなめが気にしていたのは第二小隊の事だった。小隊長の日野かえで少佐、副官の渡辺リン大尉、そして三番機担当予定のアン・ナン・パク軍曹。三人とも配属初日に『特殊な部隊』の機動部隊の詰め所に顔を出した後、一切顔を見ていなかった。

「そう言えばそうですね。初日に僕が豊川駅に日野少佐を迎えに行った日から一度と次の日に出勤してきたのが最後で、それからは一切顔を見ていない……」

 誠もかなめに言われてようやくその異常な事実に気が付いた。

 男装の麗人で変態のかえでとその愛人であるリン。出勤二日目から女子の制服を着て『男の()』となったアン。あまり顔を合わせたくない面々だったが居なければ居ないで心配になるのが人のサガと言うものであった。

「だからそれについて車内で説明するためにこの車に第一小隊を集めたんだ?そんなことも分かんねーのかオメー等は。馬鹿か?」

 あきれ果てたようにランはそう言った。

「クバルカ中佐。私は分かっていました」

 ハンドルを切りながらカウラはそう言って誠達を軽蔑するような笑いを浮かべた。

「ベルガーは分かって当然だ。小隊長だかんな。そんくれーじゃねーと困る」

 ランはそう言うと苦笑いを浮かべて察しの悪いまこととかなめを見つめた。

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