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反撃3

 マティアスの目の前のマクサ将軍の顔が真っ青になり、歯がガチガチと音を立てる。

「マクサ将軍。神への祈りはすんだか?」
「お、お許しを、マティアス王子。私はこれまで貴方のために尽力したではありませんか?」
「ああ、そうだったな。俺の行動を逐一叔父上に話していたな」
「!。おろかな王子め!お前など到底王の器ではないわ!」
「ああ、承知している」

 マティアスはそれだけ言うと、マクサ将軍の首に剣を刺した。血が噴き出し、マクサ将軍はばたりと倒れた。

 マティアスは返り血がついていないか確認してから、心に念じた。

《ルイス》
《兄上。ご無事ですか?》

 すぐさま弟のルイスの思念がマティアスの脳裏に響いてきた。マティアスもルイスも同じ風魔法のため、どんなに離れた場所でも会話する事が可能だ。

《イエーリ叔父上はゲイド国王との密約の証しとして金の燭台をもらい受けている。それを突きつけて叔父上を拘束しろ》
《うん、わかった。でも、それでも叔父上がしらばっくれたら?》
《金の燭台の裏にはゲイド国の刻印がしてある。二人の手引きをしたマクサ将軍が、叔父上に裏切られた時の保険として、刻印の事は話していなかったのだろう。きっと叔父上は得意げに部屋に飾っているぞ。それとな、叔父上に資金提供したトレント公爵と娘も捕縛しておけ》
《罪状は?》
《トレント公爵の屋敷の地下牢に、若い男の奴隷がかなりの数いる。それをネタに捕縛しろ》
《わかったけど、兄上その事ずっと前から知ってたの?》
《・・・。ああ》

 ルイスの質問に、マティアスは黙った。苦しんでいる人間の話しを聞いていたのに、すぐに助け出さないのはマティアスの都合だ。弟のルイスに幻滅されたかもしれない。

 予想に反してルイスの思念は明るかった。

《驚いた!兄上、困っている人を見つけると、すぐ助けに行っちゃうから、踏みとどまってくれてよかった。でないと、僕らがこれまでやってきた、叔父上一派掃討作戦がダメになっちゃうからね》
《ああ、そうだな》
《大丈夫。トレント公爵家に囚われている人たちは、僕が責任を持って救出するよ》
《ああ、頼んだぞ。ルイス》
《・・・、兄上。絶対、無事に帰ってきてね?》
《ああ、当たり前だろ!俺を誰だと思ってるんだ》
《すぐ調子に乗るうっかり者の兄上だよ》
《ひ、ひどい、ルイス》
《もう、念話を切るよ。じゃあね、》

 それきりルイスの思念は途絶えた。また声をかければ、ルイスはしぶしぶ会話をしてくれるだろうが、ルイスにはルイスのやらなければならない事があるのだ。

 マティアスは気持ちを奮い立たたせ、行動を開始した。まずは倒したゲイド軍の兵士をあらためなければ。

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