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エピローグ

「え⁉ 練習の取材⁉ あの『サッカーチャンプ』さんがですか? は、はい、大丈夫です! 魔王へのインタビュー? ああ、すみません。その日は15分ほどしか時間が取れないのですが……OK⁉ はい、詳細はメールで……確認次第、返信します。失礼します」

 ななみは電話を切る。フォーが尋ねる。

「また取材? 近頃多いわね……ねえ、取材断れない? 皆練習に集中させたいのよ……」

「気持ちは分かるけど、取材などに応じて情報を発信していくのもプロの大事な仕事!」

「……そうは言っても、大半はローカルメディアとかじゃないの」

「地域密着は大切よ! 目指すは『船橋の誇り、アウゲンブリック船橋』!」

「埃の間違いじゃない? 恰好のネタとして遊ばれているような気がするのよね~」

「そ、そんなことはないわよ! ゴブちゃんは商店街の街ブラロケ! ルトちゃんは神社の清掃ボランティア! クーオちゃんは大食いチャレンジ! スラちゃんは幼稚園で子供たちと遊んでいるし! レムちゃんは公園で草むしり! トッケちゃんは女子大に侵入! 皆、地域の人たちから必要とされているし! 間違いなく愛されているわ!」

「トッケだけ何をやってんのよ……スキャンダルとか大丈夫?」

「猫の振りをしてたら女子大生が可愛がってくれるから楽しいにゃあって言ってたけど」

「全然PRに繋がってないじゃないの……もうちょっと仕事は選んだ方が良いわよ?」

「そ、そうかな……まあ、もうちょっと考えてみる……」

「経営とかは貴女の領分だから、これ以上余計な口出しするつもりはないけど……」

 フォーがソファーに寝そべりながらタブレッドを操作する。ななみが首を傾げる

「……フォーちゃん、さっきからゴロゴロして何やっているの?」

「ゴロゴロって……戦力強化の為に、色々と動いているのよ……」

「ええ? 戦力強化……って⁉」

 ななみがプレスルームに目をやる。叫び声が聞こえたからだ。フォーが促す。

「インタビューの予定時間はとっくに過ぎたわ、あのバカの独演会を止めてきたら?」

「う、うん! ちょっと、レイブン選手!」

「レイブン選手! 『エンペラーカップ』は只の通過点だとおっしゃるのですね⁉」

「当然……ワシを誰だと思っておる? ジパング制覇くらいで満足するわけがなかろう」

「そ、それでは……?」

「アジア! そして世界制覇じゃ!」

「おおっ!」

 カメラのシャッター音が響く。レイブンは満足気に右手で地球儀を掴んでいる。

「はあ、ちょっと目を離したら……また大言壮語を……でも、不思議となんかやってくれそうな気がするのよね、この魔王様……『船橋から世界へ!』……実現しちゃうかも?」

 ななみは取材陣のリクエストに気さくに応じ、ポーズを変えるレイブンを見て微笑む。

                  ~第1章完~

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