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それから1時間後─。
早坂さんはグッスリと寝入り、おばあちゃんは床に大の字になりイビキをかき、──わたしは、ベッドに座ったまま身動き取れずにいた。
トイレに行きたくても、早坂さんが手を離してくれない。どうにか逃れようと試みても、その手が弱まることはなく、わたしが動くたびに握る手に力がこもる。
この男、本当は起きてるんじゃないのか?
無理矢理離れたら、起こすかもしれない。そう思うと何も出来ず、結果こうして1時間も早坂さんとおばあちゃんの寝顔を見続けているのである。
携帯でもあれば時間を潰せるが、バッグと共に下に置いたままだ。
背もたれもない状態では身体も悲鳴を上げてくる。最終的に、睡魔も襲ってくるというものだ。
最初は我慢していたが、とうとう限界を迎えた。早坂さんが起きる前に、起きればいいよね。手を握ったまま、わたしは早坂さんを背にしてベッドに横たわった。