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046:かんばしくない状況

 それから王都には八日間滞在した。王都見学と称してあっちこっちの酒場に顔を出し、王と謁見の方法とかスライム博士と接触する方法を探して回った。

「かんばしくないなぁ」

 酒場にはシエラとケダマとジンとで行った。絡まれないためだ。まぁ絡まれた所で返り討ちにしてやるが、それでも余計なトラブルが避けられるのはありがたい。ちなみにバッツは案の定。趣味のナンパに行っている。まぁ一緒に行動するメリットはないのでいいのだが……

 宿の部屋に帰ってきて、ベッドに腰掛ける。

「ハァ。駄目だぁ……」

 ちなみにレオル少年にも小遣いを渡し情報を収集するように言ってあるが、かんばしくない状態だそうだ。

「そろそろお金も尽きるし帰らないか?」

 ジンの言葉に私は頷く。

「そうだね。さすがにこれ以上の滞在は無理かも。あぁーもう!」

 そう叫びながら私はベッドに倒れ込む。するとシエラも「もうー!」っとか言いながら真似をする。可笑しかったり可愛かったりするのでシエラをくすぐりの刑に処した。彼女の脇の下をわちゃわちゃするのだ。するとキャッキャケタケタと笑い声。しばらく、くすぐっているとバッツが帰ってきた。

「おう。楽しそうだな」
「おかえりぃ」
「おう。ただいまぁ」
「どうだったの? ナンパの方は」
「やっぱ手強いわぁ。落ちねぇ。ランクの低い人はちょっとぉとか言われるんだぜ?」
「あーらら」
「後は年齢か。若すぎるんだってよ。もうちょっと結婚を考えられる年齢じゃないとぉっだってよ」
「おぉ。真面目ぇ」
「他には冒険者はねぇ……とかもあったな」

 そう言ってバッツがベッドにどっかりと仰向けに倒れ込む。

「リサっち?」
「ん?」
「オレと付き合わねぇ?」
「死ね!」

 その流れで口説かれて落ちる女がいるか!

「はっは。だよなぁ」

 さすがのバッツもお疲れらしい。そんなバッツから殊勝な言葉が。

「帰るかぁ」

 私は心残りがあるが「そうだねぇ。帰ろっかぁ」と同意する。バッツが思い出したように言う。

「そうだ。シエラのローブはどうなったんだ?」
「あぁ。そっちは回収済みだよぉ」
「そうか。よっしゃ。ならもう出来ることはないな?」

 バッツが最後の確認で全員を見回した。誰も異を唱えない。

「よし。んじゃあ帰るか! んで冒険者のランク上げだな!」
「おう!」

 あぁ……成果はシエラの防具と私の武器のみ、かぁ。ざぁんねん。

 こうして私たちは帰路につくべく、準備を始めたのだった。

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