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「え、凌さん?」
「はい。それで、何かと世話になってるんで気持ちで何か渡したいなぁと思ったんですけど、考えても全然思いつかなくて・・・」
「うんうん」
まあ、そりゃあそうだろうな。男同士、それもあの年代の人へのプレゼントってチョイスが難しいと思う。
「もし良かったら、雪音さんにプレゼント選び手伝ってもらえないかなって」
「ぇえ!?」
「・・・やっぱ、迷惑すか?」
一真くんの顔があからさまに曇った。
「いや、迷惑とかじゃなくて!わたし、自慢じゃないけど、そーゆうプレゼント選びとかまったくセンスないんだよね」
一真くんは意外そうだった。「そーなんすか?」
「うん。高校の時、友達の誕生日プレゼント1日中迷って、結果、ノートを束で送ったわたしに頼む?」
一真くんは豪快に噴き出した。「マジすか」
「うん。あの時の友達の顔は今でも鮮明に覚えてる。人間が本当に嬉しくない時の顔って、こうなるんだと思ったもん」
「ちょっ、ウケんだけど雪音さん」
相当おかしかったのか、一真くんは腹を抱えて身体を揺らしている。
「とゆーわけで、わたしより春香のほうが適任だと思うけど・・・それか大学の友達にセンスの良い子いないの?」
「・・・いや、俺は雪音さんと行きたいんす」
一真くんの何とも言えない表情を見て、少し身構えた。それだと、ちょっと意味が変わってくるんじゃ──。正直、こう言う雰囲気になるのを避けていた自分がいる。
「お願い出来ますか?」
──わたしは病んでいる頭で精一杯考えた。
一真くんがわたしに好意を持っているなら、2人で出かけるような思わせぶりな事はしないほうがいいのでは?しかし、ただ単にプレゼント選びに困っている一真くんを拒否するのも、人として、友達としてどうよ。
それに加え、そんな子犬みたいな目でお願いされたら──・・・「わたしでヨケレバ」
「よっしゃ!ありがとうございます!」
ガッツポーズする一真くんが可愛くて、笑みが出た。本当、こんな弟がいればよかったのに。