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翌日、空舞さんは家に来なかった。
3日続いた寝不足が解消されたのは良かったが、来なきゃ来ないで心配になるのも事実で。
ランニングがてら河原でお昼ご飯を食べながら、空ばかり見ていた。時々、周りに人がいないのを確認して空舞さーんと叫ぶ。でも、空舞さんは姿を現さなかった。
時間と共に、何かあったんじゃないかと不安が募る。人間なら携帯で安否が確認出来るのに。
「雪音さん、どうしたんすか?外ばっかり見てますけど」
「えっ、あー、うん。ちょっとね」
「待ち人でもいるんじゃない?早坂さんとか、早坂さんとか、早坂さんとか」
「・・・違う」
「え、今日も来るんすか?」
「だから、違うって」
「アンタ達、本当は付き合ってるんじゃないの?」
「付き合ってない」
「えっ、マジすか?」
「だから、ちがーう!」
「早坂さんだってアンタに気ィあるじゃない。なんで付き合わないわけ?」
「なんで?って・・・そんな事言われても・・・ていうか、なんでわたしに気があると思うわけ」
春香と一真くんは目を合わせた。
「どっからどう見ても、そうじゃない」
「俺もそう思います」
「だから、なんで?」
「独占欲丸出しじゃない。この前来た時も、かなり一真くんのこと警戒してたし」
「そうすね。雪音さんに近づくなって、目が言ってました」
「ええ・・・?そうかなあ・・・」
「俺と離そうとしてますよね。物理的に」
「ええ・・・?そう・・・?」
「気づいてないのアンタだけよ。まあ、天然記念物にはわからないでしょうけど」
「言われた事ないんすか?その、告白的な」
「・・・ないない」
「今、間があったわね」
確かに、最近意味深な事を言われたりもするが、基本軽いノリだから、わたしも真剣に受け止めてはいない。
「いや、ホントにないない。あの人は、ただ可愛がってくれてるだけ。・・・異常に」
「可愛いも好きの内じゃない」
「え?」
「好きだから可愛いと思うんでしょ」
何も、言えない。だってわたしは、天然記念物だから。
「実際、アンタは早坂さんの事どう思ってるのよ」