6
9時にセットしていたアラームをオフにした。
こんなに早く目が覚めたのは久しぶりだ。
携帯の時計は7時5分だが、実際に目が覚めたのは1時間前だ。2度寝をしようと思ったが、なかなか寝つけず、今に至る。
ベッドから起き上がり、上半身を伸ばす。
若干身体がダルいのは、熟睡出来ていないからか。昨日もなかなか寝つけず、ビールとストロングの酎ハイの助けを借りた。
なんか、わたしも春香みたいになってきたな。
天気予報では、今日は1日晴れマークだったはず。換気をしようとカーテンを開けて──「ギャッ!」
昨日と同じ場所に、空舞さんがいた。
とりあえず、窓を開ける。
「・・・空舞さん、おはようございます」
「何を驚いているの?ずいぶん遅い起床ね」
まだ、7時なんですが。「空舞さんは早いですね。いつからいたんですか?」
「最初に来たのは2時間くらい前かしら。待っても動きがないから、行ったり来たりしてたわ」
「はあ・・・あ、どうぞ」空舞さんが中に入るのを待って、網戸を閉める。外は、青空が広がっている。予報通りだ。
部屋に向き直り、「・・・あれ?」
てっきりテーブルの上にいると思った空舞さんがいない。
「ここよ」
「ギャッ!」
彼女がいたのはわたしの上、つまり、カーテンレールだ。
「さっきから何をそんなに驚いているの?」
「・・・すみません。慣れていないもので・・・」部屋に鳥が居る事に。
空舞さんは次に、テレビの上へと移動した。首を動かし、部屋を観察している。
「わたしちょっと、顔洗ってきますね。ゆっくりしててください」
歯を磨きながら自分の顔を見て、思った。朝なのに、すでに疲れてないか?
こういう時は、血色を良く見せる為、チークが必要不可欠だ。水でバシャバシャと顔を洗い、メイクに取り掛かる。
部屋に戻ると、空舞さんはテーブルの上にいた。ハンカチの上に置いたブレスレットのそばに。
「綺麗にしてくれたのね。ありがとう」
「水で洗っただけですけど。あの、わたしコーヒー飲みますけど、空舞さんも何か・・・あっ、牛乳ありますよ」