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「じゃあ、好きな人は?います?」
「・・・いないよ」
「あっ!今、間があった!あやしい・・・」
その間の理由を、わたしが教えてほしい。「わたしの事はいいから!一真くんは?彼女いないの?」
「俺はもう半年くらいいないっすね」
半年って、もうなの?「そっか。一真くんならすぐ出来るよ」
「うわー、俺、全然興味持たれてないし」一真くんが、ガクリと項垂れた。
「え、興味?」
「雪音さん、俺の事、異性として見てます?」
これは、完璧に想定外の質問だった。こういう場合、なんて答えれば?わたしは正直に言う以外、知らない。「異性っていうか、一真くんみたいな弟がいたら、良かったなあ・・・って」
納得してないのは、表情を見てわかった。「弟かあ・・・やっぱり。年下ダメすか?」
「・・・いや、ダメとかじゃないけど」
「社会人にならないと釣り合わないすよね。早く時間経たねーかなあ」
なんか、話が変な方向に行ってるんですけど。話題を変えなくては。「わたし、ひとりっ子だから、兄弟いたらいいなーって思ってたんだ」
「そーなんすか?でも、納得かも。雪音さんしっかりしてるから。上がいると、どうしても甘やかされますからね。わがままになりますよ、俺もそうだけど」
「そーなの?」
「はい、7つ上の姉ちゃんがいます」
ということは、早坂さんと同じくらいか?
──だから、いちいち思い出すなって。
「いいなあ。7つも上だったら、可愛がられたらでしょ」
「はい。ブラコンです」
「アハハ。ブラコンか、一真くん可愛いから、わかる気がする」
「・・・そこはあんまりわかってほしくないんだけどな」
「えっ」余計なこと言った?地雷がよくわからん。
「雪音さんは、弟か妹がいたら、絶対良い姉ちゃんになってたと思いますよ」
「そうかねえ〜」
「はい。最初に会った時、この人、自分の事より人の事に一生懸命な人なんだなって思いましたもん」
「最初に会った時って、店で?」
一真くんが首を振った。「前に、叔父の店で会ってるんですよ。話はしてないから、雪音さんは覚えてないと思うけど」
「えっ!そーなの?」まったく、記憶にございません。