違う世界
「私がその部屋を借ります」
その言葉に驚いたのは俺だけではなく、他の二人も同じようだったようで呆然としている中で話は進んでいき、
気がつくと部屋の鍵を受け取っていた後で、彼女に引っ張られる形で連れて行かれることになったんだ。
そうして到着した部屋の中に入ると、そこにはダブルベッドが一つ置かれているだけのシンプルな作りとなっていたため、
余計に意識してしまうようになっていたところに彼女が声をかけてきて我に帰ることになるのだった。
とりあえずベッドに腰掛けたところで、不意に手を握られたことで動揺してしまったことで鼓動が激しくなったことを自覚していた。
そんな中、彼女の口から発せられた言葉を聞いて衝撃を受けることになるとは思わなかったけどな、
だって、いきなり告白されたんだぞ!?
そりゃ驚くに決まっているだろう、
だが、断る理由もないわけで受け入れることに決めたというわけだ。
その後は、お互いの事を語り合っていったのだが、不思議と会話が途切れることはなかった。
まあ、話題としては定番なものばかりだったんだけど、でも楽しかったのは間違いないぞ。
そんなこんなで時間も遅くなってきたので、そろそろ寝ることにしたんだ。
ところが、ここでちょっとした事件が起きたんだ。
なんと、先にシャワーを浴びたテティが出てくるなり裸のまま突撃してきたと思ったら、俺に抱き着いてきた挙句キスまでされてしまったんだからな!
あまりにも急すぎる展開に頭が追いつかず混乱している間に押し倒されてしまっていたわけだが、
我に返った時には既に手遅れだったみたいで完全に身動きが取れなくなっていた状態だったんだよね。こうなったらもう諦めるしかないと思い覚悟を決めた瞬間、突然扉が開かれたかと思うと見覚えのある人物が入ってきたのを見て驚いてしまったんだ。
「えっ!?」
突然の事態に困惑しつつも視線を向けると、そこにいたのは何と陛下だったということだから更に驚いた。
マジで心臓が止まるかと思ったからな、すると、それを見た相手は呆れたように溜息を吐きながら話しかけてくると言ったんだ。
やれやれって感じでさ、 本当に失礼な話だよ全く、人の気も知らない癖に、
「あのなぁ、お前は昔から危なっかしいところがあるんだから少しは自重しろよ」
などと言ってくるものだから腹が立って反論してやろうとしたその時、唐突に抱きしめられてしまい戸惑ってしまった。
どうしていいか分からず固まっていると、耳元で囁かれたのでビクッと身体を震わせてしまったもののどうにか堪えることに成功することができた。
良かったぁ~、バレてなかったみたいだ。
ふぅ〜危ないところだったぜ、
それにしてもなんであんなにドキドキしてるんだ。
「いや、なんでもないよ……」
と言いながら誤魔化すように頭を振ってみるが上手くいかなかったみたいだったので諦めて素直に従うことにするしかなかった。
「分かった、言う通りにするよ」
そう言うと今度はゆっくりと近づいて行き唇を触れ合わせる寸前の距離まで接近するとそこで止まったまま相手の顔を見つめ続けた。
しばらくしてから再び動き出そうとした時だった。
ふいに伸びてきた手が頰に触れたかと思うと顔を持ち上げられた挙げ句強引に引き寄せられてしまったために、バランスを崩しそうになったものの。
辛うじて耐えることに成功した私は安堵の溜息を漏らしていた。それから間もなくして唇が重ねられた後すぐに離れてしまったことに寂しさを
覚えつつ余韻に浸っていたところ突然声を掛けられたことに気付いて慌てて顔を上げるとそこに立っていた人物と目が合った
途端恥ずかしくなって俯いてしまった。
「おはよう、よく眠れたか?」
そう言って微笑む彼を見ていると自然と顔が熱くなるのを感じたがそれを悟られないよう平静を装って答えることに
必死になっていたので気付かなかったようである、そんな彼の様子を見て安心しながら見つめているうちに段々と落ち着きを取り戻してきた
ところでふと思い出したことがあったので思い切って訪ねてみることにしたのであった。
(さて、今日はどうしようかな……? うーんそうだなぁ、たまには買い物にでも行ってみようかな)
そう思った私は身支度を整えると部屋を出たところで丁度出くわした相手に挨拶を済ませてから出かける旨を伝えたところ、
意外な返事が返ってきたことに戸惑いながらも何とか受け答えをしつつその場を離れようとした時後ろから声をかけられたことにより振り返ると
そこには彼がいたのだったのだが、どうやら見送りにきただけではなかった。
「ちょっと待ってくれ!」
と呼び止められた直後、腕を掴まれてしまって動けなくなってしまったところを壁際に追いやられてしまったところで顔を覗き込まれるように
して見つめられたため緊張のあまり呼吸が荒くなってしまっただけでなく胸の高鳴りを抑えることが出来なくなりつつ
あったこともありまともに思考することも出来ずにいたところへ追い討ちをかけるかのように迫ってきた彼に唇を奪われた事で
意識が朦朧とし始めてしまうほどであった。