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 カブトとレンジは事務所に入った。
二人の視界に目つきの鋭い髭面が映り込んだ。

「来たか。トリカブト」
男は低い声でカブトに言った。
「隣は誰だ」

「レンジ。今日からカブトのパートナー。よろしくな」
レンジの挨拶を聞いて男は不審そうに片眉を上げた。

「聞かねぇ名だ」
「ああ。『なんでも屋』って言った方が伝わるかな?」
男は得心がいったと言うように頷いた。

「お前が例の記憶を失くしたなんでも屋か」

レンジは満足そうに答える。
「おう。なんでも屋だから人の手伝いをする。今回手伝うのがカブトってだけだ。何も不思議なことはねぇだろ?」

「そうだな。……記憶を失くしたなんでも屋と、脱獄した復讐者か。これまた妙なコンビだな」
男の言葉を聞き、レンジがカブトを見た。

「脱獄?」
カブトは無表情のまま男を見ている。

男は呆れたようにため息をついた。
「そんなことも知らずにコンビを組んだのか」
「こいつが勝手に言っているだけだ」
カブトは不快そうに言った。

そんなカブトを見て、男は少し笑った。
「まぁ別にどうでもいい。お前らがどういう関係だろうが、俺のやることは変わらない」

「そうだ。今回の仕事はなんだ。さっさと教えろ。カルミアに繋がる手がかりはあるのか?」

男は
「急かすなよ」
と、どこか楽しげに言った後
「実はな。ついにお前の望む情報が手に入った」
と言った。

カブトの体がピクリと反応する。
「勿体ぶらずにさっさと言え」
男はニヤリと口角を上げた。

「今回の仕事は……」

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