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夕飯

妻は俺が死んでからも、俺の分の夕飯を作り続けた。俺が死んだことを受け入れられないのではなく、死者へのお供えのつもりで、作っているようだった。あの世でも自分の手料理を食べて欲しいと願ってのお供えらしいが、俺としては、早く死んだ俺のことなんか忘れて、再婚して自分の幸せを見つけてくれないと成仏できないと、俺の分の料理を作る妻の周りで、まだうろちょろしていた。

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