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女のカン

「つまり、夫の浮気が許せずに、殺害したと?」
「ええ、そうです」
「ですが、こちらの調べでは、ご主人が浮気していたという事実は、ありませんでしたが。なにか浮気の証拠を?」
「女のカンよ」
「カン、ですか」
「最近帰りが遅かったし、家の中で、私に聞こえないようにコソコソ電話してることがあったし」
「具体的な証拠は、何もなしに、ご主人を疑ったと?」
「なによ、浮気の具体的な証拠をつかんでなくて悪い? 探偵みたいに夫を一日中尾行しろと、浮気を疑われるような素っ気ない態度を続けていたのはあいつの方だし、夫らしいこと最近何もしてくれず、他に女がいるような素振りを見せていた彼が悪くない?」
「なら、殺害せずとも、離婚すればよかったんじゃないですか?」
「守護天使様が、殺せ、殺せと囁いたのよ」
「守護天使? 悪魔の間違いでは?」
「天使様よ、その声に従っていれば、みんなうまくいってたんだから」
「では、その天使様は、今なんと?」
「い、今は聞こえないわ、悪魔の手先である、あなたたちに捕まったせいね」
「ふぅ…、そうですか」

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