魔王との出会い
「ええ、よろしくね」
と言った後で唇を重ねてきたので、俺はそれに応えるように舌を絡めたディープキスをした後、
彼女をベッドに押し倒したのだ。
それから数日間に渡り俺達は子作りに明け暮れたんだが、その結果、双子を出産することになったのだ。
しかも男女の双子だということが判明したため、将来有望だと喜んでいたんだが、ここで思わぬ問題が生じたのである。
なんと二人共男の子だったのだ!
これにはさすがに困ったが、それでも愛しい我が子であることに変わりは無いわけで、
みんなで愛情込めて育てようと決めたんだ。
しかし、そんな時に悲劇が起きたのである。
俺達の元に隣国からの宣戦布告が届いたのだ!
どうやら、魔王を倒した俺たちに恨みを持っているらしく、復讐のために攻め込んできたらしいのだ。
しかもその数は膨大で、総勢十万を超える大軍だった。
このままでは全滅してしまうと判断した俺達は、王都を捨てて逃げることに決めたのだが、
その際に子供をどうするかという問題に直面したのである。
いくら敵国とはいえ、子供を殺すわけにはいかないだろうと考えた俺達は、子供達を連れて行くことにしたんだ
もちろん反対する者もいたが、それでも決意は変わらなかったのである。
そうして俺達は戦場へと向かって行ったのだった……。
あれからどれ程の月日が流れただろうか?
気が付けば戦争は終わっており、俺は王様になっていたのだ。
(いや〜、我ながら凄い出世をしたもんだ)
そう思いながら城内を歩いていると、不意に声をかけられたのである。
振り向くとそこにいたのはかつての仲間たちであった。
彼らもまた俺と同じく国王としてこの国を支えてくれている存在なのだ。
そんな仲間達と共に楽しく日々を過ごしていたのだが、そんなある日の事、一人の女性が訪ねてきたのである。
その女性はどこか見覚えのある顔をしていたんだが、どこで会ったのか思い出せずにいたんだ。
すると彼女はこう言ったのである。
どうやら彼女は勇者様の子孫にあたる人物だったらしい。
それを聞いて驚いたんだが、同時に納得したんだ。
なぜなら彼女から感じる力は、あの少年のものと同じだったからである。
そこで、彼女に協力する事を決めた俺は、すぐに準備を整えると旅立ったのだった。
行き先はもちろん、伝説の秘宝が眠るという神殿である。
そこに保管されている秘宝を手に入れれば、元の世界に戻る方法が分かるかもしれないと思ったからだ。
そして遂に目的の場所に辿り着いた俺達は早速探索を始めたんだが、なかなか見つからないのである。
そんな中、一人の男と出会ったのだ。
その男は自らを賢者だと名乗った上で、俺達にある提案を持ちかけてきたんだ。
その内容というのは、自分達と協力して魔王を倒すというものだったんだ。
それを聞いた俺達は、お互いに顔を見合わせて頷くと、その申し出を受け入れる事にしたんだ。
こうして俺達の冒険が再び始まったのである。
だがしかし、そう簡単に上手くいくはずもなく、次々と襲いかかる強敵達の前に、苦戦を強いられる事となってしまったのだ。
特に酷かったのは僧侶だった。
彼女は敵の攻撃を受ける度に傷付き、回復魔法を使う事で精一杯の状況であり、他のメンバーを守る余裕は無かったのだ。
その為、戦闘に参加する事はほぼ不可能と言える状態だったのだ。
そんな状態で戦い続けていたのだが、次第に疲弊していき劣勢に追い込まれる事になった。
そしてとうとう限界を迎えようとした時、俺は覚悟を決めたのである。
これ以上戦っても勝ち目はないと判断した俺は、一旦撤退しようと決めたのだ。
そして仲間達に合図を送ると、全員で逃げ出したのである。
背後から追っ手が迫ってきているのが分かったので全力で走り続けていると、途中で盗賊の少女が立ち塞がったのである。
彼女は両手を広げて俺達の行く手を阻んでいたんだ。
それを見た俺と魔法使いは立ち止まると、盗賊少女に向かって叫んだんだ。
「そこをどけ!」
と言うと、彼女はニヤリと笑いながら答えてくれた。
「嫌だって言ったらどうするの?」
と言うので、俺は剣を抜いて構えると答えたんだ。
「力ずくでも通してもらうぞ」
そう言って一歩踏み出そうとしたところで、急に後ろから抱きつかれてしまったんだ。
驚いて振り返ると、そこには戦士がいて俺に声をかけてきたんだ。
彼は微笑みながら言う。
「落ち着いて下さいよ、リーダー。ここは俺に任せて下さい」
そう言われた俺は、渋々引き下がることにしたんだ。
すると彼は盗賊少女に向かって剣を構えたかと思うと、凄まじい勢いで切りかかって行ったのだ!
そして激しい戦闘が始まったのだが、しばらくすると形勢が逆転してしまったようだった。
なんと、戦士の攻撃が次々と決まっていくのである。
それを見ていた僧侶が言ったんだ。
「流石ですね、彼なら任せても大丈夫でしょう」
それを聞いて安心した俺は、引き続き見守る事にしたのだった。
そして数分後には決着がついたようで、倒れていたのは盗賊少女の方だったのだ。
彼女を拘束した俺達は、その場を後にしたんだが、その際彼女が何か呟いているのを聞いた気がしたが無視することにしたんだ。
そんな訳で今はのんびりと過ごしているところなんだが、魔王討伐の旅はまだ終わっていないから気を緩めずに行こうと思う今日この頃なんだ。
よし、今日は休むぞー!
こうして、俺達の旅は続くのであった。
ある日、目覚めるとそこは見知らぬ部屋の中だった。
周りを見渡すと鉄格子があることから、牢屋か何かに閉じ込められているんだと思ったんだ。
(くそ、一体ここはどこなんだ?)
そう考えていると一人の男性が部屋の中に入ってきたんだ。
彼は俺を見て驚いたような表情を浮かべていたが、すぐに平静を取り戻して話しかけてきたんだ。
どうやら、俺は捕まってしまったらしい。
何でも、遺跡の調査中に怪しい格好をした連中を見つけたらしく、
そいつらを捕まえようと追いかけていたら崖から落ちてしまったそうだ。
幸いにも命に別状は無かったのだが、そのまま気を失ってしまい目が覚めたらこの部屋にいたという訳だ。
それなら早くここから出してくれよと言うと、男性は首を横に振りながら言った。
どうやら、遺跡の調査中に失敗したらしく、その償いとしてここで働いてもらうというのだ。
つまり、奴隷として扱われるということなのだろう。
冗談じゃないと思った俺は何とか脱出を試みる事にしたんだが、何故か扉には鍵がかかっており開けることが出来なかったんだ。
しかも窓も無く完全に密室状態のため逃げ場がない状態だったんだ。
このままではまずいと思った俺は、必死になって何か方法がないか探していたんだが何も見つからず途方に暮れていると、
突然扉が開いて仮面をつけた男が部屋に入って来たんだ。
そして、その男は俺の姿を見てニヤリと笑うとこう言ったのだ。
「ようこそ、我が城へ」
これが俺と魔王との出会いだった。
まさかこんな出会い方になるとは思わなかった……と思っていたら今度は別の男が入ってきたんだ。
そいつは俺を見るなりこう言ってきたんだ。
「ほう、お前が例の男か?」
ニヤニヤしながら近づいてくる男に恐怖心を抱きながらも俺は睨み返したんだ。
そうするとそいつは笑いながら俺の腹にパンチを放ってきたんだ!
あまりの痛みに悶絶する俺を見て楽しんでいるようだった。
しかし、それはまだ序の口に過ぎなかったのだ。
その後、何度も殴られたり蹴られたりした挙句、最後は気絶してしまったんだ。
意識を取り戻した時には既に遅く、全身を拘束されていた上に身動きが取れなくなっていたから逃げる事も出来なかった。
そんな俺に向かって奴らは言ったんだ。
「今日からお前は俺たちの所有物だ」
こうして俺の地獄が始まったのだった……。
ある日、目を覚ますと俺は見知らぬ部屋の中にいた。
どうやら牢屋のような場所に入れられているようで、手足には鎖がつけられており自由を奪われていたんだ。