7.罪人を裁きたいなら試験をパスして裁判官にならないと始まらない。
【死ぃぃぃぃいいいいいぬぅぅぅうううううぇぇぇぇえええええええあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!】
グッッッギャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
「お。」
ドッゴォォォオオオオオン
ギャァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
「ほ。」
ドゴォォォン
クギャァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!
「は。」
バゴォォォン
ギィィィェェェェエエエエエエエエエエエエ!!!
「よ。」
チュドォォォン
ひらひらひらり
舞い遊ぶアゲハ蝶のように真・妖顕天貫の特大パンチをかわしていくサカ。
「ひぇぇぇ、結構凄いパンチじゃないですかぁ?さっきまで普通のババアだったのに、コンクリートに大穴が空くようなパンチを…流石魔剤、エロの力は偉大ですねぇ。」
「いや限度があるでしょ。流石に違法薬物のオンパレードなんだろうけど、それにしても、ただのババアがここまでになるなんて…いったいどんな人間がこんな薬物、作れるんだ…?」
【くぁぁぁああああああああああ!!!!ちょっこまか、ちょっこまかとぉぉぉおおおおおお!!!!いぃぃぃーーーかっっっげぇぇぇええええええんんにぃぃぃいいいいいいいーーーーーー、当っっっっったぁぁぁあああありぃぃぃいいいいいいぬぅぅぅううううううあああああああああああああああああああああああああすぅぅぅうううううううああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいっっっ、ゆぅぅぅぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!】
ギャアアアアアアアアアアアアアス!!!
「へ。」
バガァァァン
チッチッチッ
サカが指を振る。
「むうあーーーったあくよおおお、パンチってえのはなあ、振り回しいやあああ、当たるってえもんじゃあねえんだぜえい?相手が当たらざあるをえんなあい、そおんなあ状きょーうを、ああ用意してやらにゃーああ、あいかんのよおーう。」
ギョォォォオオオオオオアアアアアア!!!
「まあでもお?いっちおおおう?レデイーだしい?一発ならあああ?」
ピタッ
サカが足を止める。
「いいぜい、受けてやらあ。」
ゴォッ
ドォッッッグシャァァァアアアア
正面からモロに受ける。
「「?!」」
「サカ?!」
「社長ぉ?!」
メリメリ、メキメキィ
拳がサカの身体にめり込み、
グッ、グゥゥゥ
そのまま、全力で、拳を、振り抜く!
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ズッガァァァアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
サカの身体がは壁ぶっ飛ばされ、姿が見えないくらいめり込んでしまった。
パラパラ、パラ…
【クッ、リィィィイイイイイン、ヒットォォォ…】
フッ、フッシュゥゥゥゥゥゥ
ボタ、ボタタ
真・妖顕天貫は肩で息づき、拳からは煙が上がり、血が滴っている。
「社長…大丈夫、ですよね…???」
「大丈夫に決まってる!でも、何で、食らった…?直前に、足止めたように、見えた、けど…もしかして?わざと?なわけ、ない、かぁ…でもないかぁぁぁあああああんんのブゥゥゥァァァァアアアアアアカアアアアアアアアア!!!!!!」
「えぇぇぇ!!!わざと、何ですかぁ???!!!何でぇ???!!!」
「知るかぁぁぁあああああ!!!!あああんのボケカスゥゥゥウウウウウウウウウウ!!!!!万が一、億が一、兆が一、京が一、無量大数が一、負けたら、どぉぉぉーーーすんだぁぁぁああああああああ!!!!」
「落ち着いてくださいソートさぁん!!!垓と秭と穣と溝と澗と正と載と極と恒河沙と阿僧祇と那由他と不可思議が、抜けてますぅぅぅううううう!!!!!」
「すぅぉっこは関係ねぇぇぇーーーだろぉぉぉおおおおがぁぁぁ、クッソアマァァァァアアアアアア!!!!!サッッッカァァァァアアアアア!!!!!さっっっさとぉぉぉおおおおお、出っっってくぅぅぉぉぉぉおおおおおおおおいいいいいいいいい!!!!!!」
ピシッ
ピシピシピシッ
【?!】
バッッッギャァァァアアアアアアアアン!
めり込んだ穴が、大破裂。
シュッ
破裂の中心から人影が飛び出し、
タタッ
「よっ、とおおおおっとっとお。」
無難に着地。
サカ、卵肌に傷一つ無し。
トゥルリン
【???!!!何で…何で何で何で何で何で、何っっっでぇぇぇぇええええええええ??????!!!!!!たっしかにぃ、かっくじつにぃ、真心をぉ、捉えたぁ、はず、なの、にぃぃぃいいいいいい??????!!!!!!】
ギュギュッ、ギュイィィイイイイイイイイイイイイイ????!!!!
ブツブツブツブツ
真・妖顕天貫の身体に蕁麻疹が出てくる。
「うんうんううううーん、まあああまあああ、悪くはあああ、無かったんだがなああああ?まあああ、62点ってええええとこかあああああ???」
「案外いいですね。」
「悪いよ。僕テストでそんな点取ったら泣いちゃうよ。」
【私がぁぁぁぁあああああ????!!!!大芸術家妖顕天貫がぁぁぁぁぁあああああああああああ????!!!!ろ、ろっく、ROCK、六じゅぅぅぅぅウウウウううぬぅぅぅぃぃぃいいいいいいいいいいとぅぅぅぇぇぇぇえええええんんんどぅぅぅぅぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ??????!!!!!!】
「威力はよおーおお、まあああ足りねえええのはあ、っしょおおーがあああねえよおなあああ?でもお?これをお?あ、旧帝大合格ルアインにまでえ、引き上げるにはあ、後一つう、そおれこそお、プアンチが必よーうなのよおーう。」
フシュ、フッッッシュゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ
【んんんんぬぅぅぅぅううううううあああああああああああああああああにぃぃぃぃいいいいいいい、言いいいいぃぃぃぃぃぅぅぅっっっっっっとぅぅぅぅぇぇぇぇぇぇええええええええっっっっっんん、っっっどぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!】
フンギョォォォァァァァアアアアアア!!!
ゴォォォッ
サカ目掛けて拳が振り下ろされる。
シュンッ
バッギャォォォオオオン
拳は空を切って床を叩き、陥没する。
【…?ど、どこに…】
キョロキョロ
「こここここーーーこお。むあったくう。」
タンタン
肩を叩かれる。
【?!】
突如、右肩に感じる人一人分以上の重み。サカが真・妖顕天貫の右肩に乗っていた。
「まあああだまだまだまだあああ、解説のおおおおとっちゅーーーだったあのによおおおーう。足りねえのはあ、なあああ?」
【足りないのは…?】
きひぃっ
「思い、なあああのよおさあ。」
ピキッ、ビキビキビキ
【ぉぉぉ思い、だぁぁぁあああああああ~~~~~~?????っっっふぅぅぅううううっっっずぅぅぅぁぁぁぁああああああくぅぅぅぅぇぇぇぇえええええええええええええんんどぅぅぅぁぁぁあああああああああああ、んぬぅぅぅぅぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええああああああああああああああああああああ!!!!!!!】
ギュゥゥゥェェェエエエエエアアアアア!!!!
ブォォォンブォォォオオオンブゥゥゥォォォオオオオン
両腕を滅茶苦茶に振り回す。
「おっとお。」
タンッ
空中に飛び、
ミシッ
ミシミシ
バットを左手一本で握り込む。
「話を聞かなあい悪ういお手手はあああ、こおうだっ、ぞおおおおおおお!!!!!」
シュィン
ズバッシュゥゥゥウウウウウウウン
バット一閃、真・妖顕天貫の右肩へ。
ブッッッリィィィイイイイイン
床を抉るその軌道に沿って、真・妖顕天貫の右腕が身体から解き放たれる。
【…へ?】
ぼてっ、ぼてぼて
真・妖顕天貫は、なぜか離れたところに転がる自分の右腕と、右腕がついていた場所を交互に見比べる。
【へ?へ?へ?へ?へ?へ?】
ププッ
ブッシュゥゥゥゥァァァァアアアアアアアアア
肩の断面から鮮血がスプラッシュする。
【へ……………っっっっっっっっっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ??????!!!!!あああっ、ああっ、っっっぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!ああたっ、しゃぁぁぁあああっ、ああああたっっっ、しゅぅぅぅぁぁぁぁあああああああんのぉぉぉおおおおお、う、うでっ、腕っっっぐぅぅぅぁぁぁぁあああああああああああああああああ??????!!!!!!!!!】
グウウウウウウウウウオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアア????!!!!
「ようようようYO鳴くよう泣くよう啼くこっっったあああ。かわちいかわちいお手手が飛んでえかわいちょおうねえええ。」
スタスタスタ
ひょいっ、ぱし
サカが右腕を回収する。
【っっっってぇぇぇぇええええええええええええんんむぅぅぅぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!】
ギョッギョォォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!
ダダダダダダッ
片腕で、体勢も整えないままの体当たり。
ひょいっ
ドンガァラグワッシュゥァアアアアアアアン
それもすかされてつんのめる真・妖顕天貫。
そんな彼女の左側に回り、
「やっぱなあああ、左にだけついててもおおおお、ブアルアンスがあああああ、う悪いよう、なああああああああああああ????!!!!」
ミシッ
ミシミシ
シュィン
ズッパァァァァアアアアアン
真・妖顕天貫、左腕も分離。
【きぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいえええええええええええええええええええええええええええあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ??????!!!!!!!!!!】
ブゥゥゥェェェェエエエエエエオオオオオオオアアアアアアアアア????!!!!
ブッシュゥゥゥゥウウウウウウウウ
淡い赤が辺りを染める。
ひょい、ぱしっ
「ふううーん、これで一対になったあとお。で、なあ?プアンチにはあ、一発一発にいいい、思いいを込める必要がああんだおおおおーう。でっけえ感情だけじゃあなくううう、『あいつをこうしてやりたい』とかあ、『こいつを倒して俺はあれになるんだ』とかのなあ、後先の思いも乗せながらあ、放しゅうーつ、すんだよなあああ。そおうやってえ、相手に思いを伝えるまあでえがあ、プアンチなのよおおお。どおうっれえええ、手本を見せちゃるかいのおおお。」
スッスッ
右手左手にそれぞれ真・妖顕天貫の右腕左腕を持ち、
ギュイッ、グチュボチュムチャブリィボキュ、ブッシャアアア
その断面に手を突っ込んでいき、両腕に真・妖顕天貫アームを装着する。
「ほっほっほっ、よおおおーーーっとお、きんもちわりいいいいぜい。」
【あぁ…?あったしゃあの、腕…?】
「自分にい本気でえ、殴られることなんたあ、んなっかなっかあぬうえええーだろおい。目えかっぴいらいてえ、よおーく俺ちゃあんの思いをおおう、脳にい刻んどけえええい。」
ズッ、シィィィン
肩幅に足を広げ、腰を落とし、アームを構える。
「おめええええをおおおおおおお、ぶっ倒してええええええええええ…」
きひゃっ
「そんの金でええええええええええ!!!!!!インドの成長株ぅぅぅううううう!!!!!買いまくるんじゃぁぁぁぁああああああああああああっっっはっっっはっっっはああああああああああああああああああああああああいいいい!!!!!!!」
「えええぇぇぇぇ???!!!資産形成もしてるんですかぁぁぁああああ????!!!!さぁっすがぁぁぁ社長ぉぉぉおおおおお!!!!」
「インド株かぁ、ちょっと微妙じゃない?人口増え続けてるしシステム産業絶賛発展中だけどさぁ、ちょっと先が不安定過ぎるというかさぁ、リスクリターンが他の先進国株と比べてどうなのって思うよね。それだったら米国株でいいじゃんってなりがちなんだよなぁ。」
「ソートさんも株とか買ってるんですか?」
「まぁ今時現預金だけで資産回すのは無能でしょ。時節に合わせて資産の適切な運用方法を見直す。乗っかる時は乗っかって、切る時は切る。どっしり構える時はそのままに。これ、いつになっても大事だからね。」
「へぇー。私も考えた方がいいのかなぁ。仕送りしなきゃですけど。」
「まずは少額の投資信託からでいいから、とにかく慣れる間口を見つけるのが良いよ。じゃないといつまで経っても投資経験できずに腐るだけだから。」
「はぁーい、分かりましたぁ!」
それはともかく。
ボボボッ
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
真・妖顕天貫アームから繰り出されるマシンガンパンチが、真・妖顕天貫の全身に降り注ぐ。
【げふごほばふぐげどちばぐぼどべどぉがくべくもくしょくえふおっふでばふばぐどぐちゃくべげばぶなたぐげどふがっっっっっっはぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!】
ギュゥゥゥウウウウウウウアアアアアアアアアアアア!!!!!
「何でババアの腕を装着する必要があるんでしょうかね?」
「知らないよ。変態の考えることなんて分からないから変態って言われるんだよ。」
ズッ
【あぁ…】
ドッ
【あああぁ…】
ズドォッ
【ああああああああああんんっ!!!】
バゴォッ
真・妖顕天貫の脳内にいまだかつてない刺激が流れ込んでくる。
【圧倒的な暴力…!わざわざ私の腕で殴る狂気…!そして…】
バッギャァン
【自分の拳で殴られるという、理不尽さ…!自己同一性すら疑わせるほどの、非現実…!こんなの、初めて…!凄い…!一発一発、殴られるごとに、私の
ドッ
ギャァァァアアアアアン
【ぐっっっふぅぅぅぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!】
痛恨の一撃。真・妖顕天貫の身体が宙を舞う。
【なんて、なんって、センセーショナルで、エモーショナルで、バイオレンスなのぉ…???!!!描きたい…!表したい…!この、迸る、魂のトキメキを、形にしたぁぁぁぃぃいいいいい!!!!!】
ガッシャァァァアアアアン
床に落ちる真・妖顕天貫。
ボロォッボロッボロォッ
そして真・妖顕天貫アームは、今の乱打で皮が剥げ肉は削ぎ骨は砕け、べちゃくちゃの肉塊になってしまった。
「あーあああんあん、こんのグローブウ、もおーう崩れちまったあああ、ふうんだ、不良品なんていーらなーいねえええいよおっとお。おめえらにい、やあああるぜえい。」
オッポッォオオオオイ
ソートとヒナ目掛けてアームをぶん投げる。
ぶんっぶんっぶぅんっ
「ばっちぃぃぃいいいいいいい!!!!そんなの、いりまっすぅぅぅぇぇぇええええんん!!!!」
「僕もいーらない。」
ひょひょい
ドォォォオオオン
パラ、パラ…
投げたアームが薄壁を突き破り、中から明かりが差す。
「んん?何かここ、空間ありません?」
「えぇ?あ、本当だ。隠し部屋っぽい。」
「ちょっと見てみましょうかぁ。よいしょ、よいしょ…うわぁ?!」
「何々…うぉ?!」
ひっく、ひっく…
うぅ…
ぐす…ぐす…
その空間には、裸で目隠しと口封じをされた老若男女、二十人ほどが拘束されていた。
「特殊も特殊なプレイですねぇ。エロも行きつくところまで行くと、こうなっちゃうんですねぇ。」
「いや、どう見ても拉致されて監禁されてるんでしょ。それに…」
ジー
ソートのカメラは老若男女の身体に残る傷跡や血痕を見逃さない。
「大分訳アリみたいだね、あのババア絡みで。」
「それで、どうしますぅ?この人たち。」
もご、もごもごぉ!
うぅー!うぅー!
じたばたじたばた
老若男女が一斉に暴れ出した。解放を求めているみたい。
「わわ、なんか苦しそうだし、目隠しくらいは取ってあげます?」
「いやぁ?なんか面倒くさそうだし、いいんじゃない?ほっといて。変に手を出して矛先向くのも嫌だし。」
「うーん、確かに…ちょっと気の毒ですけど、じゃあ私たちは、これで…」
すごすご
あっさり隠し部屋を後にしようとした。
もご…もご…
ぷはっ
「待って、待ってください!」
一番手前の若い女が、口の拘束を何とか剥がして声を出す。
「うわっ、びっくりしたぁ。何ですかぁ?」
「あなた方は、警察でもないみたいですけど、きっと、あれですよね?!妖顕天貫を倒しにきたん、ですよね?!」
「はぁ、正確には私たちではないけど…」
「あのババアの討伐の付き添いに来たって感じ。僕らはね。」
「やっぱり…!なら、どうか、どうか、お願いです…!」
バッ
若い女が身を乗り出す。
「あの妖顕天貫、悪魔をぉ、殺してっ、くだっ、さぁい!!!そして、どうか、どうか私たちを、助けて、助けてっ、くだっ、さぁぁぁい!!!」
「えぇ…?」
「うぅーん…?」
ガッ、ガッ
ズル、ズル
【うぅ…描かなきゃ…残さなきゃ…このトキメキを…それで私は…もっともっと上の…世界一の…芸術家、にぃぃぃ…!】
グゥゥゥ、グゥゥゥゥゥゥ…!
ズル、ズル
匍匐前進でキャンバスに向かう真・妖顕天貫。
「先生…」
隅っこに隠れながら妖顕天貫の醜態を眺める高橋。
ジィ~
ボロン
ズボンのチャックを下ろし、自分のアレを露出させる。
「はぁ…はぁ…せ、先生ぇ…!」
シィコシィコシィコ
興奮した息遣いでアレをしごき始めた。
「ほれほれい、キャンバスまであともうちょいだぞおいおいおい。気張れ気張ら気張らんかあい。」
【うぅ…うぅぅ…】
ズル…
「あっ手が滑ったあ!!!」
シュィン
パッキャァァァァアアアアアアン
バットが真・妖顕天貫の右脚に炸裂、亡きモノとなる。
【きゃぁぁぁぁぁあああああああああ????!!!!】
ギョァァァァァアアアアアア???!!!
「あっまたまた手が滑ったあああ!!!!」
シュィン
バッキャァァァァアアアアアアン
左脚へ。同じく亡きモノに。
【ああああああああああああ????!!!!ああああっ、ああああぁぁぁぁ…】
グフゥゥゥァァァァ…ゲフゥゥゥ…
真・妖顕天貫、哀れ両手脚の無いダルマちゃんになる。
きひっひっひゃっひゃっひゃっ
「もおーう、俺ちゃあんの両手ったらあ、つういつうい弱い者いじめしちゃうんだからあああーん。こら!だめでちょ!んもおーう。」
ズ…ズ…
なんとか身体を捩って前に進む真・妖顕天貫。しかし手脚が無いため、その進みは亀より遅い。
「健気だもんねえい。命尽くしてえまで、残したいものなんかあ、あるもんかねえ。」
【残すのぉ…私のぉ…全てをぉ…魂をぉ…】
「まあああーあでもお、そろそろ飽きてきたしい、お腹ペコリン不倫浮気大草原だからあーああ、もおーう終わらせるぜえい。」
スタスタ
無造作に近づく。
はぁはぁ、ふぅふぅ
「先生…!先生…!」
ジィコジィコジィコ
擦り過ぎで高橋のアレからは血が滲んでいた。
ミシッ
ミシミシ
サカが両手でバットを強く握る。
【ひぃぃぃいいいい!…嫌…嫌ぁ…やめてぇ…】
「おいおいおおおーい、そんな艶めかしい声で鳴くんじゃあねえやい。こーふん、すんだ、ろう、があああああ???!!!」
【い、いいいいい、いっっっっやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!】
ギョァァァァアアアアアアアアアアアアス!!!
きひっ
「「「「「殺せぇぇぇ!!!殺してしまええええええええ!!!!!」」」」」
【…え…?】
「…ああーん?」
突如、部屋のどこからから大勢の畳みかける声が発された。
「そうだぁ!そんなやつ、死ぬべきなんだぁぁぁ!!!殺せぇぇぇ!!!早く殺せぇぇぇ!!!」
「いや待てぇ!俺たちの苦しみを、もっともっと味わわせてからだぁぁぁ!!!もっともっともっと、嬲り殺せぇぇぇ!!!」
「そうだそうだぁ!苦しめ、クソババアァァァァ!!!」
「いい、もういいから、早く、早く殺してぇぇぇ!!!」
声のする方、そこには、布を一枚身にまとっただけの老若男女が。皆んな血相変えて真・妖顕天貫を睨みつけている。
その集団の傍らに立つ、ソートとヒナ。
「おいいいいい、ぬうあーんだあこいつれえあよおおおおーう。どっからあ湧いてえきやがったあああ?」
「いやぁ、それがですねぇ、そこに隠し部屋がありましてぇ、人がいっぱい捕まえられてましてぇ…」
「それで解放しろ解放しろってうるさいから、まぁ、拘束解いてあげちゃったの。そしたら、そこのババアへの不満爆発しちゃったみたい。」
老若男女が真・妖顕天貫に近づく。
「私たちは皆んな、そこの妖顕天貫に拉致されてきたんです!普通に、平和に暮らしてたのに、ある日突然、黒ずくめの男たちに薬を嗅がされて意識を失って、それで気づいたら身ぐるみ剝がされて、ここに…!」
「それでそいつは、『芸術のために、生きてる人間から採集しないといけないものがあるのよぉ』とかなんだか言って、俺たちの身体を滅茶苦茶に弄んだんだぁぁぁ!!!」
「私はぁ、鉄の針で、処女膜をぉ、破られましたぁぁぁ!!!それだけじゃない、膣も大陰唇もめちゃくちゃに引っ掻いて…!だからずっと、ずっとずっと痛いんですぅ!おしっこするだけで激痛なんですぅぅぅ!!!」
「私、うぐぅ、私はぁ、赤ん坊の頭蓋骨が必要だとか言って、ぐぅ、私の、目の前で、幼い我が子を、ふぐっ、殺されましたぁ…!それだけじゃない、『あらぁ、我が子を想う母の涙、それを生む目って素敵よねぇ』とか言って、私の左目を、がはっ、抉って、抉ったんですぅぅぅ!!!こんのぉ、畜生がぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!」
「俺の隣にいたやつは、『男性器ってつくづく不思議な形よねぇ。お腹の中からどうやって生えてるのか、参考資料にしたいから、ちょっと引き抜かせてもらうわねぇ。』って言われて、竿と玉を腹の内臓ごと引き抜かれたんだぁぁぁ!!!!それでそいつは、出血多量で死んだぁぁぁ!!!人間がやることじゃねぇぇぇよぉぉぉおおおおおお!!!!」
「儂らみたいな年寄りまでいたぶりおってぇ…!『ババアの萎びた仙骨で、この台座固定しないといけないの』なんぞ言って、ばあさんを生きたままチェンソーにかけて殺した…!あんまりじゃ、あんまりじゃぁぁぁ!儂らが何をしたというんじゃ、なぜこんな仕打ちを受けねばならんのじゃぁぁぁ!一体お前に何の権利があって、こんなことをするんじゃぁぁぁぁぁぁ!!!この、悪魔、死神めぇぇぇ!!!」
サカは握ったバットを肩に担ぎ直し、
「…ほおーう。」
一人呟く。
「何が芸術だぁぁぁぁああああ!!!!人間以下のゴミ屑がぁぁぁああああ!!!!!お前なんかぁぁぁぁあああああ!!!!死んで当然なんだぁぁぁぁあああああ!!!!」
「息子を返しなさいよぉぉぉおおおおおお!!!!!」
「夫を生き返らせろ、このクズゥゥゥウウウウウウウ!!!!」
「お前みたいなやつのために、なんで娘が死ななきゃいけなかったんだぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!死ねぇぇぇぇえええええええええ!!!!!!!!」
「嬲り殺せぇぇぇぇええええええええええええ!!!!!俺たちの気持ちを、痛みを、味わぇぇぇぇええええええええええ!!!!!」
「「「「「殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!」」」」」」
ワアアアアアアアアアアアアア
【ひ、ひぃぃぃぃいいいいい…】
「凄い熱量ですねぇ。とんでもない恨み買ってたんですねぇ、このババア。」
「気持ちは分からなくもないけど、大分エグイことしてたみたいだし。」
「「「「「殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!」」」」」
殺せコールが真・妖顕天貫と、その前に立つサカに浴びせられる。
「殺せ、ねえ。」
「そうだそうだぁ!殺して!早く殺してよ!あんたぁ!!!」
「さっさとしろぉ!!!もたもたするなぁぁぁぁあああああ!!!!!」
「「「「「殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!」」」」」
「…」
「「「「「殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!殺せ!!!」」」」」
ズッ
「黙れ。」
ズオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
「「「「「「「???!!!」」」」」」」
ビッッックゥゥゥゥゥ
ガックガクガクガクガクガクガク、ガックン
圧殺されんばかりの覇気が辺りを包む。その場にいた全員が縮こまり、膝を折る。勢いづいていた老若男女も、冷や汗が噴き出し、全身ガタガタ震えている。
高橋も一旦手を止める。
サカだけが立って見下すその様は、まるで信徒が跪いて上位存在を崇めているかのようだった。
「お前らあの気持ちはあ、よおく分からあなあ。」
サカが講釈を始める。皆んな黙って聞くしかない。
「平穏な日常をお、自分の人生をお、意味も分からずにい、しっちゃかあめっちゃかあにされてえ、それで嗤われてえってえんならあ、そんりゃあなあ、怒らない方がどうーかあしってえるぜえええい。殺したくもお、なる、よ、なああああ?!」
ずいっ
真・妖顕天貫に視線を送る。
【ひぃぃぃいいいい…!】
「でも、なあ?」
トーンが一段落ちる。目線が老若男女に向く。
「じゃあああ、なあああんでおめえらはあ、たあだあこおうやってえ、生きてんだあああ?」
「…?」
「ど、どういう…?」
「さぁ…」
突然の問いに、老若男女らはさっぱりという顔つきで顔を見合わせる。
「拉致られるうときいいい、拘束されるうときいいい、自分や隣人がいじめられるときいいい、愛する人が犠牲になるときいいい、なあああんで自分の命張ってでもおおお、あんのババアに立ち向かわなかったあああ?」
「いや…」
「そんな…」
「なぁ?…」
けっ
「なあああんとでもできたあはずだあああーなあ。手脚を縛られてようがあ、目を抉られようがあ、腕をもがれようがあ、脚を切られようがあ、首だけになろうがあ、必死こいて歯あ食いしばってえ、ババアアアに一矢い報いいることおなんたあいくらあでえーもおできたはずだあああ。なあのおにい、そうしなかったあああ。それでえのうのうと生きてきたあああ。俺ちゃあんが降臨するう、今の今までええええ。」
カッ、カッ
サカはゆっくり部屋の中を歩く。
「それでえ、いざあババアアアが死に死にになってえええ、自分らが自由になったあらあああ、俺ちゃあんに向かってえ、やれ『殺せ』だのお、『苦しませろ』だのお、一丁まあえに口ききやがるううう。都合があ、いいなあああああああ???誰かあに助けてもらったあああこともお、きれいさあっぱあり忘れてえ、ただあ感情のままにい動いてえええ、まるでえ、自分にババアを裁くう権利があるうとお思ってえええ。」
カッ
「ちっっっげええええええだろおおおがあい。そんな権利いも資格もお、微塵もお、ねえええよおおおーーーう。ババアを倒す
「「「「「…」」」」」
老若男女は返す言葉も無い。サカが続ける。
「いいいいかあああ。生きてりゃあああ理不尽、非合理なことなんてえええ、星の数ほどありゃあああーなあああ。んでもなあ?そおんなときにい、『運が悪かった』『自分は悪くない』ってえ保身だけしてもおおお、にゃあああーんんにいもお、意味はねえええわあああなあああ。どうしよおおおうもないとお分かってえいてもおおお、できるわっきゃあああなあいってえええ分かってえいてもおおお、やるだけやってやあるう、そんのお姿勢が大事なあああのおおおよおおおーう。そうすっりゃあああ、たとえええそんとっきゃあああ駄目でもおおお、いつかあそんのお経験があ活きるう時があくんのかもおしらあああん。それにい、そんの姿せえええいに感動したあああ誰かがあああ、たっすっけってえええくれるかもおおお、あ、しらんなあああ???」
カッカッカッ
真・妖顕天貫のところに戻る。
「皆んながみいいいいーんなあ、裁判官になってえええ、自分のお嫌なやっちゃあをお死っ刑にできりゃあああ簡単だがなあああ、げんじっつうちゅうーのはなあ、そおんなに甘くねえべえええーんよおおお。そんなことがあできんのはあ、このひろおい世界で唯一人い、こんのお俺ちゅわあんしかあいないのよおさあああ。だから、なあ?」
くるり
改めて老若男女の方を向く。
「おんめえらあみてえええな一般ピーポーはあ、大人っしゅうそこで見てるだけえ、なあ?分かったあ?」
「「「「「…」」」」」
こっくり
皆んな微かに頷く。
「よしよしよおおおーしい。おん待たせしたあなあああババアアアちゅわああああん。その憐れえーなあ人生を、終わらせまちゅよおおおーうっとお。」
ガッ
真・妖顕天貫の髪の毛を掴み
ぐいいいっ
身体を持ち上げる。
【いいいぃぃぃっ、いやっ、嫌ぁぁぁぁ…お願い、お願いよぉぉぉ…私から、芸術をぉ、奪わないでぇ…】
グルゥッ、グルルルゥ…
「そおーさあなあ、せっくわあくだっしい、おんめえのそんのお命い、最期までえゲージツにい、昇華あさせてえやんよおおお。」
スタスタスタ、スタ
そのままキャンバスの前までいく。キャンバスは極厚極幅極長で、人間の背丈を優に超える大きさ。途中の絵が掛かっており、まだ白いところがいっぱい残っている。
「この絵なあああ、もうちょおい、プアンチがあ、足りねええええよおおおなあああああ???」
【え…な、何するの…?ねぇ、何…?】
きひゃっ
「自分の最期がああああ最後の作品をおおお完せえええさせるったあああああ、げにまっことにいいい、ゲージツカあ、らっしいいいいじゃあああねええええのおおお。」
ゾゾゾワァァァッ
ブツ、ブツブツブツブツブツブツブツブツゥ
全身の毛が逆立ち蕁麻疹MAX。
【嘘…?嘘嘘嘘、嘘よ、ねぇ?嫌、嫌嫌嫌嫌嫌、嫌よぉ?!こんな、こんなぁぁぁあ終わりってえええええええ???!!!】
グルァァァ、グッルァァァァァァァアアアア???!!!
そんな叫び虚しく、
ぐっ
ポォォォオオオオイ
真・妖顕天貫を真上に投げる。
「紙破らあねえええよおおおにいいい、手えええええ加っ減えええん、しんねええええとおおお、なああああああああああああああ?????!!!!!」
ミシッ
ミシミシミシ
一本足打法の構え。
【嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌ぁ、いぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃっっっっっっっゆぅぅぅぅうぅうううううううううううううううううぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああどぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううっっっっっっっっっああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!】
イイイイイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアアギャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「これがあ、マジモンのおおおおお、きっっっっっったんぬううううえええええええええええええええええいいいいい花火いいいいいいいいいんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
シュッキィィィン
ドッバァァァッッッチャァァァァアアアアアアアン!
べちゃべちゃべちゃ、べったぁぁぁん
はら…はら…
バット一閃、身体が爆ぜる。七色の髪の毛が宙を舞う。
真・妖顕天貫、キャンバスに散る。
真・妖顕天貫だったものはキャンバス一面に散りばめられ、赤、橙、ピンク、茶など様々な暖色が塗りばめられた。
「ふっ、とお。辞世の作品にしちゃあーああ、なっかなかあ、悪くねえんでえねえーのお?」
スタスタスタ
「おおーいい、おんめえらあ、けえーるぞおー。」
「…はあ、もう、ビビらせないでよ。たまにそういうことするんだから。おしっこちびるとこだったよ。」
「…私、ちょっと、いや大分、漏らしちゃいましたぁ…アソコが冷たいですぅ…」
「っばっちいいいなあああナーヒイー。そんなんでお家に入んじゃあああねえええぞおおお?」
「無駄かもしれないけど、一応片付けしとこっか。ほらヒナさん、仕事しよ。近くの清掃用具持ってこようね。あとサカ、証明だけど、もう動画撮ることにしたから。カメラの画質上がったし、それでいけそうだから、今からそうするね。」
「へいへええええーーーーいい。勝手にどうぞおおお。」
スタスタ…
ピタッ
サカが歩みを止める。
「うん?どうしたの?」
「…いんやあ?まあ、一応かあ。」
踵を返し、キャンバスに戻る。
「え、何?何すんの?」
「なんもおねええーよおおお。おめえらはあああ、あのへえんな人たちをお連れてえええ、さっさと出ていきやがれえええい。俺ちゃんはあ、ちょっとやることがあ、あああらあーなあ。」
「何、どうしちゃったの?」
「ええからあ。はよせえい。」
「ううん、もう、分かったよ独裁者。ヒナさん、行こう。」
「うぅ…ソートさぁん…ズボンとパンツの替えも手配してくださぁい…」
「分かったから。ほら皆さんも、行きますよぉー。ついてきてくださいねぇー。」
「「「「「はぁーい。」」」」」
ゾロゾロゾロ…
皆んなサカが空けた大穴から出ていった。
ここに残るは、サカと、後一人。
「先生…先生先生先生先生先生先生先生、先生ぇ…あぁっ、あっ、はぁっ、ハァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!」
ブッ、ビュビュビュビュゥゥゥゥウウウウーーーーールルルルルルールルルル
ボタボタボッタァ、ベトォ
キャンバスに白濁の液体が、ねっとり重量感を持って塗りたくられる。
「おおおーいおい、女あを見殺しにしてえおっ楽しみいのとこお、悪りいいいいなああああ、
はぁ、はぁ
カチャカチャ、ジィ~
アレを拭いたりせずにそのままパンツの中にしまう。
「高橋です。何ですか?」
「いやあぬうあーにい、一言片言じっくりとお、言ってえおこかにゃあーああとお思ってえよおおお。」
「何でしょうか。」
ザッ
紅い瞳が映える。
「おんめえーのお、本当のおおお、ごっ主人様あに言っとおけえええい、俺ちゃあああんに言いたいことがあ、あああーんならああ、てんめえええーの首にぶっといぶうっとおい値札あつけてえ、腰振り尻振ってえ出てこいってええええなああああ???」
「まぁ、気づきますよねぇ、そりゃあ。」
高橋の卑屈な目が光る。
「どうです?
「はあああーあああ、見くびられたもんだぜえええい。あああんなもんでえよっちよっちい遊べったああああ???舐めんのもおおお、ええ加減にしろってえんだあああい。楽しんでたのはあああ、むっしろお、おんめえええの方だろおおお???」
「えぇまぁ、私としては随分とおいしい思いをさせてもらいましたよ。熟女専なものでしてね。」
「知らねええええよおおお。まあーああとにかっくだああああ、俺ちゃあああんを釣りてええええならあああああ、もっとおいいいいーもんぶら下げてえこいよなああああ???分かったかあああああ???」
「えぇ、えぇ。あの方にお伝えしておきます。」
けっ
「むあったくう、てめえーで出てこねえええでえ、こっそこそこっそこそとうろつきやがるう、チャバネみてえええなあ野郎だあぜえええい。じゃあああーなあ。」
スタスタスタ
スッ
サカも出ていった。
「…やはり、面白い人ですね。あの方が目をつけるのも、分かる気がします。」
キュッ
キャンバスを背にする。
「さて、スッキリしたことですし、私も行きますか。また新しい
スタスタ…
ピタッ
「…さようなら、
スッ
そして誰もいなくなった。
穴だらけ、亀裂だらけになった、ある芸術家の部屋。
誰も息づくことのないその空間で、一枚の壮大な絵が佇む。
べちゃあ…
べとぉ…
ちゅぴっ
情熱に燃える女の卵子と、勃々たる泳ぎを見せる男の精子が、静かに