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あの女が写ってる

「どこに、あの女が写ってるって? どこにも写ってねぇじゃんか」
「よく見なさいよ、ほら、これにも、そこにも、私の写ってる写真の後ろに立ってるじゃない」
「だから、お前の後ろに誰も写ってないって、これなんか、すぐ後ろ、車がバンバン走ってる車道だろ?」
「あんた、本当に見えてないの。ちょ、あんたのスマホ貸しなさいよ」
「あ、なにするんだ?」
「いま、ここで私を自撮りして見せてあげる。あの女が写っているところを」
「分かった。やってみろよ」
「ほ、ほら、これ、私の真後ろにいるじゃない、ちょ、やだ、私の首に手をかけようとしてる」
「だから、誰も写っていないって」
「写ってるじゃない、こんなにくっきりと」
「おい、なに急に自撮りで連写してるんだ。その女の連続写真でも撮るつもりか」
「手が、勝手に、く、苦しい、誰かが私の首を・・・」
「誰かって、誰だよ。お前、俺のスマホで自撮りしてるだけだぞ」
「う、うぐっ、死、死ぬ・・・」
「お、おい・・・」

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