共に旅する者
「おい、離せよこの野郎!」
俺がそう叫ぶと今度は、急に彼女が大声をだしてきたのか俺はビックリして気を失ってしまったのだ。
気がつくとそこは古びた建物の中であった。
周りには、十字架や不気味な祭壇がありまさに魔界を思わせる場所であった。
そして、そこで見た光景はかなり衝撃的なものだった。
なぜならセレナが、その部屋の中央で座らされている椅子の上で号泣しながら縛られていたからである。
一体どうしてこんなことになったのか分からず困惑していたが、その時ふと、
遠くから誰かが走ってくるような音が聞こえてきた為、俺は警戒する事に決めたのである。
(誰だ!?)
そう思った瞬間のことである!
部屋に飛び込んできたのは金髪碧眼の女性だったのだが、何故か俺を見るなり嬉しそうな表情を
浮かべながら駆け寄ってきたかと思うといきなり抱きついてきたのである。
これには俺もパニックになってしまったんだが、しばらくして我に返ったようで改めて顔をよく見てみることにした。
「えっと、君は一体誰なんだ? 何でこんなところにいるの?」
と聞いてみると、彼女は答えてくれた。
その話を聞いてみると、どうやら彼女も勇者と呼ばれる存在らしいのだが、
彼女が言うには魔王を倒す為に旅に出たはいいが道に迷ってしまい彷徨っていたところこの洞窟を見つけてしまい、
興味本位で中に入ってみたら強力な魔物に遭遇してしまった為やむなく撤退してきたということらしかったのだ。
(なるほどそういうことだったのか)
と納得した俺だったが、その瞬間である。
突如として謎の人影が現れ襲いかかってきたかと思うと突然彼女の心臓を貫いたのである。
あまりの出来事に唖然としていたが、その直後さらに驚くべきことが起こったのだった。
なんと刺されたはずの彼女が何事もなかったかのように立ち上がったばかりか、逆に相手の方が苦しみ始めたのである。
一体何が起きているのか分からず、混乱していると今度は俺の身体が光り輝き出したのである。
「な、何だこれ!? 一体何が起こってるんだ?」
と戸惑っているうちに段々と意識が遠のいていったのである。
そして気がつくとそこは洞窟の外であったのだ。
(あれ、さっきまでの場所とは違う?)
そう思ったものの、とりあえず外に出てみることにしたのだがそこで待っていたのは地獄のような光景であったのだ。
辺り一面焼け野原になっており、人も魔物も関係なく倒れている姿があったのである。
その光景を見た瞬間、俺は何が起きたのかを理解したんだ。
そう、俺があの場所に行ったことでみんな殺されてしまったに違いないということを確信したのだ。
その事実にショックを受けつつも何とか立ち上がり街に戻ろうとしたのだが、
その時再び謎の人影が現れたかと思うと俺に向かって剣を振るってきたのである。
咄嵯の出来事だったがなんとか回避することに成功したものの今度は背後から殴られてしまい意識を失ってしまったのだった。
次に目が覚めた時、目の前にいたのはセレナだったのだ。
彼女は俺を抱き抱えながら耳元で囁いたのである。
「目が覚めたみたいね、ごめんなさいね、突然攻撃したみたいで。
でも安心してちょうだい、もう魔王は倒したから」
それを聞いて安心したのだが、同時に疑問が浮かんだので聞いてみることにした。
「あの、ところでここはどこなんですか?
それに魔王を倒したってどういうことですか?」
と聞くと彼女は微笑みながら答えてくれた。
どうやらここは俺がいた世界とは違うらしく、魔法や魔物が存在するファンタジーな世界らしいのだ。
そして今いる場所はその世界の辺境にある小さな村であり、俺はこの村の外れにある洞窟の中に倒れていたところを発見されたということらしかった。
さらに話を聞くと、どうやら俺は勇者として召喚された存在で魔王を倒す為に旅をしていたのだが
道に迷ってしまい偶然この場所に辿り着いたということだったのだ。
しかも、その際に一緒にいたはずの仲間たちも全員殺されてしまったというのだ。
それを聞いて愕然としていると更に驚くべきことが起こったのである。
なんと彼女が俺にキスをしてきたのだ!
突然のことに驚いていると、今度は舌を絡ませてきて濃厚なディープキスをされてしまったのだった。
「ちょっ、何をすんだよ!?」
慌てて離れると、彼女は微笑みながら言ったのだ。
「ふふっ、可愛いわね」
そう言われた瞬間、何故か胸がドキドキしてきたのだが気のせいだろうか?
そんなことを考えているうちにまたキスをされてしまったので今度はこちらからも反撃することにしたのである。
すると彼女もそれに応えるように舌を絡めてきたかと思うとそのまま押し倒されてしまったのだった。
それからしばらくの間お互いを求め合った後ようやく解放された時にはすっかり息が上がってしまっていたが、
それでもまだ物足りない様子だったので再び唇を重ね合わせた後、今度は彼女の方から求めてきたのでそれに応えることにしたのだ。
「ねぇ、もっとしようよ」
そう言われたので今度はこちらから攻めることにした。
まずは首筋から鎖骨にかけてゆっくりと舐めていくと、彼女は甘い吐息を漏らしながら身体をピクつかせていた。
「んっ、くすぐったい」
そう言いながらも喜んでいる様子だったので、そんな俺はまたキスする事にした。
「んっ、んんっ」
今度は舌を入れて絡め合わせると、彼女もそれに応えてくれた。
「ここまでだな、そうだ、一緒に旅しないか?」
「ええ、喜んで」
こうして俺たちは一緒に旅をすることになったのだった。
それからというもの、俺達は様々な冒険を繰り広げていったんだ。
時には危険な目に遭うこともあったが、その度にお互いを助け合って乗り越えてきたんだ。