一年後
「あれから一年も経ってしまったのか、早いもんだなぁ」
とか思いながら感慨深くなっていると、急に彼女が話しかけてきたんですよ。
そして、俺にこう言ってきたんです。
「貴方のことが好きです」
ってね。
それを聞いた瞬間、俺は胸が高鳴りました。
まさかこんな形で告白されるなんて思ってなかったからね。
でも嬉しかったな、だってずっと好きだった相手から愛の告白を受けたんだからね、
そんな訳で俺達は付き合うことになったんだが、それからというもの毎日が楽しくて仕方ない日々を送っていたよ。
そんなある日の事だった……なんと俺の元に一通の手紙が届いたんだよ。
それは何と魔族の王を名乗る者からのもので、内容は意外なものだったんだ。
なんと魔王の娘である彼女を俺にくれると言ってきたのだ。
あの魔王様がだぜ?
一体何考えてんだって感じだよな……まあ正直嬉しいんだけどさ、でも流石にいきなり言われても困るっていうか、
とにかく戸惑ったぜ。
だけどまあ貰えるもんは貰っておく主義だしな、
それに、せっかくだから貰っておこうかなって思ったわけさ、
それで実際に会ってみると、意外と良い奴だったんだよ。
魔王の娘とも結構仲良かったみたいだし……これはあれだな。
ひょっとしたら二人は元々結ばれる運命だったのかもしれないなって思えたね、
そんなわけで俺は彼女を幸せにしてあげることを誓ったんだ。
そんなこんなありつつも順調に交際を続けて一ヶ月が過ぎた頃のことだ。
遂にその時がやってきたのさ……。
それはなんと彼女からの初夜の誘いだったんだ。
流石は魔王の娘といったところだろうか?
まさかここまで積極的だとは思いもしなかったよ、
全く、驚きを通り越して感動すら覚えた。
(やれやれ、すっかり興奮しちまったみたいだなぁ)
「失礼します、勇者様、これが私の初めてです」
そう言いながら彼女は服を脱いでいく、恥ずかしそうな表情をしながら少しずつ脱いでいき、
とうとう下着姿になってしまったところで手を止めると、今度はスカートに手をかけてゆっくりと下ろしていった。
そしてついに全てを脱ぎ終えると、生まれたままの姿になった彼女がそこにいたのだった。
その姿はとても美しく、見ているだけで興奮してしまうほどだったが、同時に神々しさも感じていたように思う。
まるで女神のようだと感じた程に……しかしそれは間違いではなかったのかもしれないなと考えるようになっていったんだ。
何故ならその時から俺は彼女と愛し合うことを強く望むようになっていたからだ。
彼女の全てを自分のものにしたいという衝動に駆られてしまったんだよ。
それ故に我慢できなくなってしまった。
俺はそのまま彼女を押し倒したわけだか……それから先は言わなくても分かるだろう。
「あの、勇者様、私、初めてなんです。だからその……優しくしてもらえますか?」
と彼女が言うと、俺はすかさず答えた。
「ああ、もちろんさ」
と言うと、彼女は安心した表情を浮かべてこう言ったんだ。
そして、いよいよ俺達は一つになったのである。
その瞬間はとても心地の良いものでしたよ。
まるで天にも昇るような気持ちだったんですわ。
「あぁ、これが女としての悦びなんだな」
と感動すら覚えましたね。
しかし、これで終わりではありませんわ。
一度や二度で終わるようなものではないですから、その後も何度も何度も体を重ね続けていきましたわ。
そうして遂には私は勇者様の子を身籠ったのです。
それからというものの、私と勇者様は幸せな日々を送っておりましたのよ。
ですからこれからもずっと一緒ですわ。
「ふふ、そろそろ起きましょうかね」
と言い、ベッドから起き上がった私は服を着て朝食の準備を始めた。
(ふふっ、今日の朝ご飯は何にしようかしら?)
そう考えながらキッチンに向かう私だった。
すると、突然後ろから声をかけられる。
「おはよう」
と……振り返るとそこには勇者様が立っておりましたわ。
彼は優しい微笑みを浮かべながら私を見つめてきましたの、
そんな彼を見た瞬間私の心臓はドキドキしてしまいまいましたわ。
思わず顔を赤らめて俯いてしまったんですのよ? でも仕方ないじゃないですか、
だって好きな人が目の前に居るんですから、そう思うと余計に恥ずかしくなってしまいましたので急いでその場から離れようとしたのですが、
腕を掴まれてしまったせいで逃げられなくなってしまいましたの。
そうしたら今度は耳元で囁かれましたわ。
私が好きな声で囁くようにしながらこう言ったのですわよ。
「今日も綺麗だね、可愛いよ」
と言われてしまったせいでますます赤くなってしまいましたわ。
その後も色々褒めてくれたり、キスしてくれたりしてくれましたの、
そのお陰ですっかり蕩けてしまいましたわ。
そうして私が惚けていると、彼はいきなり服を脱がせ始めましたの、
抵抗しようにも力が入らなかったためされるがままでしたわ。
そのまま彼に抱かれて一晩を過ごすことになりましたのですわよ。
そして翌朝目を覚ますと隣には全裸姿の勇者様が立っていたので驚きましたわ。
しかもそれだけではなく、なんと私の胸に手を伸ばしてきていたものですから思わず叫んでしまったくらいですわね、
結局その後は彼と結ばれてしまうことになったわけなんですが、でもそれも悪くはなかったと思っていますのよ。
だって好きな人と愛し合えるなんて最高の幸せじゃありませんこと、そんな訳ですから、これからもよろしくお願いしますわ。
「勇者様、今日はどうなさるのかしら?」
と私は尋ねた。
すると彼は答えてくれた。
私が考えている事をわかってくれているのかいないのかは不明だが、どうやら何かしら意味のある言葉を口にしているらしいということは理解出来たようだ。
という事で続けて聞こうと思ったらバテてしまったらしくぶっ倒れてたらましたわ。
残念ですわ。
また来週に期待しましょうかね。
そしてそれから数日後の出来事であった。
その日は特に何もない一日であったが突然事件が起きたのである。
なんと私宛ての招待状が届いたのだ。
一体誰が送ってきたんだろうと思い開けてみるとそこには驚くべき内容が書かれていた。
何とそれは私と結婚させて欲しいという相手からの申し出だったのだ。
しかも相手は魔族の中でもかなり有名な方だというではないか、
まさかこんな事になるとは誰が予想できただろうか、だがこれで私の将来も安泰だ。
「おめでとうございます! これで貴方は晴れて王妃になれるんですよ」
と周りの人々は口を揃えて祝福してくれている。
だが私には不安な気持ちもあった。
なぜなら、この魔族の王様が一体どんな人なのか想像すらできなかったからであるし、そもそも本当に私を選んで下さったのかどうかも分からなかったからだ。
そこで私は思い切って尋ねてみることになったのだ。
もしよろしければお会いしても宜しいでしょうか?
すると相手はこう言ったのである。
「ええ、構いませんよ? では、早速明日にでも城にいらして下さいますか?」
(えっ、もう会うつもりなのね!?)
驚きつつも了承することに決めた私は翌日指定された場所へと向かったのだが、そこにはなんと巨大な城があったではないか、
その大きさたるや、今まで、私が見てきた中で一番大きいのではないかと思えるほどであり、中に入る前から圧倒されてしまっていたのだった。
「お待ちしておりました、ようこそおいでくださいました」
そう言って出迎えてくれたのは、恐らくこの城の主であり魔族の王でもあるであろう人物であった。
その姿を見た瞬間思わず見惚れてしまった私であったが、気を取り直して自己紹介を始めたのである。
私の名前はシルフィーといいますわ。
どうぞよろしくお願いいたしますねと挨拶をする私に対して彼は優しく微笑みながら答えてくれたのだが、その笑顔を見た途端に胸の鼓動が速くなるのを感じた。
どうやら一目惚れしてしまったのかもしれないと思っていると彼が話しかけてきたので慌てて答えたのである。
すると彼は少し考える素振りを見せてからこう言ってきたのだ。
そうだ、せっかくだしこのまま式を挙げちゃいましょうよ?
ほら早く準備をして来て頂戴、
(えっ!?)
私は一瞬戸惑ったものの言われた通りにするしかなかったため大急ぎで着替えを済ませると彼の元へ再び戻ったのだった。