仲間集め
だってまさかそんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったからな。
だから戸惑っていたんだが、その後も彼女は話してくれたんだ。
「でもね、あなたが亡くなったと聞いた時とても悲しかったの。
でも、その後神様が教えてくれたのよ、私の事を救ってくれる人物がいるっていうことね、
そして、その人物が今あなたの目の前にいるという事なのよ?」
そう言われた瞬間に俺はようやく気づいたんだ。
(ああそういう事だったのか……)
実は、俺もお前のことが好きだったんだぜ? という言葉は心の中にしまっておくことにするんだ。
俺は何も言わないことにして彼女と連絡先を交換した後別れたんだ。
まあどうせこれから一緒に行動するわけだしな?
こうして俺達は再び手を取り合って行動する事になったんだけども、今の俺は勇者ちゃんと一緒に暮らしている最中なわけだから
あまりかまってやれないからそこが残念ではあったんだよなぁ……とか思ったりもするんだけど、
それでも愛する彼女と一緒にいたいという気持ちもあるから複雑だったりするんだよ。
(まあ、これからは四人で頑張っていくしかなさそうだな)
と思っていた時だった、勇者ちゃんの方から声をかけられたんだ。
どうやら何か言いたいことがあるようだ。
「あの、私思ったことがあるんですけど、聞いてもらえますか?」
そう聞いてきたので俺は笑顔で答えた。
すると彼女は話し始めたんだ。
その内容というのが、俺達の今後の方針についてのことだったんだが、
それについては俺も考えていたところだったから丁度いいタイミングだと思って彼女の意見を聞くことにしたんだ。
そして、彼女が出した結論というのがこうだったんだよ。
まず最初にやらなければいけないことは、仲間集めだという事だそうだ。
確かにその通りかもしれないと思ったよ。
何せ今のままだと戦力不足だからな、せめてもう一人か二人くらいは欲しいところだなと思っていたところだよ。
(まあ仕方ないよな)
そう思いながらも俺達は行動を開始することにしたんだ。
まずは冒険者ギルドに行って仲間を募集しようという事になり、早速向かう事になったわけだが、そこで思わぬ出会いがあったんだよ。
それはなんと元魔王の娘であるミリスだったんだ。
「あら、奇遇ね。こんなところで会うなんて」
と話しかけてきた彼女に対して勇者ちゃんは笑顔で返していた。
そして、俺達は一緒に行動することになったんだが、その際にミリスからこんなことを言われたんだ。
「ねえ、あなた達はこれからどうするつもりなの?」
って聞かれたので俺はこう答えたよ。
「まずは仲間集めをしようと思っているんだが、何か良い案はないかな?」
そう聞いたところ、彼女は考え込んだ後でこう言ったんだ。
それは意外な言葉だったよ。
まさか、あんなことを言うなんて思ってもみなかったからな。
でも、まあ確かにその通りかもしれないと思ったんだよ。
だって、俺達には圧倒的に足りないものがあるんだからな。
それを補える人材を探す必要があるという事だと判断したわけだよ。
だから俺達は、冒険者ギルドで探すことにしたんだ。
(さてと、どんな奴がいるんだろうか)
そう思って中に入ると中はかなり賑わっていたんだが、俺達は早速受付嬢に話しかけることにしたんだ。
すると、彼女は笑顔で対応してくれたんだが、俺達の話を聞くと困った表情を浮かべてしまったんだ。
(何かあったんだろうか?)
そう思いながらも話を聞いてみると、どうやら最近になって冒険者達が次々と行方不明になっているという話だったんだよ。
しかもその中にはSランク冒険者も含まれていたらしく、かなり深刻な問題になっていたようだ。
そして、その話を聞いた勇者ちゃんは真剣な表情で考え込んでいたんだが、
やがて意を決したように顔を上げるとこう言ってきたんだ。
「私達も、協力させてもらえませんか?」
そう言われて俺は戸惑ったんだが、それでも彼女の決意は固かったようで、どうしても引き下がろうとしなかったんだ。
(仕方ないか)
と思ったので俺も一緒についていくことにしたんだよ。
そして俺達は、受付嬢に許可を貰ってからダンジョンへと向かったんだ。
「ここですか? とても静かですが、人がいる感じがしませんね……」
勇者ちゃんの言葉の通り、ここには人っ子一人見当たらない、不気味な静けさが立ち込めていた。
そんな場所で、俺は先に進むよう促したんだが、その時だった。
一人の人影が私達に近づいて来ている事に気づいたんだよ、そして俺達はその人影に声をかけたんだが、
次の瞬間信じられない言葉を耳にしてしまったんだ。
何故ならそれは、その人物が俺達の知り合いだったからだ。
それもかなり親しい間柄にある人物で、その人物こそかつてのパーティーの仲間である『ミリス』だったのだよ。
その彼女がどうしてここにいるのかと思って尋ねてみたんだが、答えは意外なものだったんだ。
「お久しぶりです勇者。そしてようこそおいで下さいました。我がご主人様の元へと」
と言ってきたのだ。
その言葉に俺達は驚いたんだが、ミリスから続きの言葉を聞くと更なる衝撃が走ったんだ。
勇者ちゃんは呆然としているようだけど、とりあえずこれからどうするか考えなければならないなと思っていた時に、
再び新たな人物が姿を現したんだ。
その人物こそが俺達の目的の相手というわけなんだな、それが俺の目の前にいるこの女というわけで、
その女こそ俺達が探していた人物の一人でもあるわけなんだが、どうやら今は違う人格のどうやら、
まだ目覚めていないようだと察した彼女は、そっとベッドに寝かせてくれた。
そして、タオルと水の入ったボウルを持ってきてくれると、丁寧に顔や髪を拭かれた後、額に濡れタオルを乗せてもらった。
その後、お粥を食べさせてくれたり、薬を飲ませてくれたりと至れり尽くせりの看病を受けることができたことで、
すっかり元気を取り戻させてもらえたような気がした。
そんなある日、突然彼女から告げられた言葉によって、俺の中に衝撃が走った。
なんと、俺達の失った記憶を取り戻させてくれるというから驚きだった。
どうやらそれは、魔王を倒した時に手に入れた超魔法の秘術の一つを使って、
何とかしてくれるというのだ。
それが本当なら、是非ともお願いしたいと思い、早速やってもらうことにした。
そうすると、次の瞬間頭の中に浮かんで来たのは、失ってしまった記憶の数々だった。
中でも一番嬉しかったのは、俺達が恋人同士になることができた事だ。
それからというもの、俺は勇者ちゃんを愛し続けたわけだが、勇者ちゃんは俺の事をずっと好きでいてくれたらしく、
結婚する事ができたんだ。