可愛い彼女
そして、その責任を感じた彼女は自らの命を投げ出してまでも、俺に謝罪をしてきたのだが俺は別に怒ってなどいなかった。
むしろ感謝していたよ、こうしてもう一度会うことがでいたんだから当然だろうな。
だから俺は彼女を抱きしめて言ったんだ、
「ありがとう」
と一言だけ伝え その言葉を聞いて彼女も泣き始めてしまったんだが、しばらくすると落ち着いたようなので、今後のことについて話すことにしたんだ。
まず最初に決めなければならないこととしてはどうやって生きていくかということだったんだが、それについては二人で話し合った結果すぐに結論を出すことができたんだよ。
というのも、彼女のお腹の中に宿っている子供が俺たちの子供であるという事を考えれば答えは簡単だと思ったんだが正解だったようだ。
なぜなら子供を最優先すべきだから、
(確かにその通りだぜっ……! 流石は俺の彼女だな……感心せざるを得ないよなあ!)
そして最終的に俺たちが出した答えはと言えば、このまま三人で暮らすという決断を下したのだ。
理由は、彼女が身籠っている子供の為にも良い環境で暮らす必要があると感じたからだ。
その為にはまず安全な場所を確保する必要があったのだ。
そのために必要な物があれば積極的に取り入れていこうと考えたんだ。
具体的にはまずは住む場所と仕事をどうするかという事についてだ。
まあその辺りは既に決まっているというか、最初から答えは一つしかなかったんだ。
それは俺が元勇者である以上それ相応の職業に就いて生計を立てる必要があるって事だな。
つまり仕事の内容は決まっているってわけだ。
そして、肝心の内容なんだがそれは……魔王討伐だ。
まあこればっかりは仕方ないよな?そもそもの原因は俺達に有る事だし、ここは責任を取るために一肌脱ごうってわけだ。
ただ、そうなると彼女はどうするかという事になってしまうんだがそれは簡単な話だ。
彼女も一緒に行けばいいだけの話なんだぜ。
ただし、彼女にも色々と都合というものがあるだろうから、それを考慮に入れなければならないんだ。
という事で俺はまず初めに彼女から事情を聞いてみたんだけど、なんでも元魔王の娘だったらしく、現在はその側近を務めていたらしいんだ。
しかも、四天王の中でもトップの腕前を持っていたとか何とか……凄いなそれ、
まあとにかくそんなわけで彼女の話は納得出来たぜ、
それに一緒に来てくれるなら心強いことこの上、話し合いの結果、彼女の事を仲間として迎えいれることになったんだよ。
ちなみにその事は他のメンバーに話したら、みんな大喜びだったんだぜ。
中には涙を流しながら感謝の言葉を述べる者もいたくらいだ。
だがしかしだ。
問題となるものが一つあったんだ。
それは彼女の正体を明かすかどうかという問題だ、これは非常に難しい選択だった。
なんせ元魔王の娘なんだからバレたらまずい事になるだろうしな。
でも、だからと言って隠し続ける事はできないんだよ。
そもそも彼女が仲間になてくれている時点で既に遅い気もするしな。
ならいっそ思い切って明かしてしまうっていうのもいいかもしれないな。
よしっ決めたぞ まずは彼女の事を仲間たちへ説明することから始める事にしたんだ。
そこで俺が何を思ったかというと、彼女の正体に関しては最後まで黙っていようって考えたんだ。
何故なら下手に喋ることによって彼女の身が脅かされることがあるかもしれなかったからな。
それだけは何としても阻止したいと思うわけなんだよ。
まあとにかくそういう風に考えていてから説明を行う前に彼女にも事前に話してあったわけだがそれでも不安に思ってしまってるようだったんだ。
「もし、私の本当の姿を見られたらと思うと」
彼女は不安そうにそう言ってきたので俺はこう言ったよ。
大丈夫だよ。
「俺がついているからな、心配する事ないよ?」
俺がそう答えるとようやく落ち着きを取り戻したようで、
そしていよいよ説明することにしたわけだが俺は彼女と共に部屋まで向かう事にして、他のメンバーにも席を外してもらう事にした。
というのも、やはり秘密にしなきゃいけないと思ったからだ。
それにこの話は他の奴らが聞いても理解できないかもしれないとも思ったんだ。
だからここは俺と彼女と二人になる事が大切だと思ったんだ。
(もちろん仲間たちも大事な存在であるが)
そして彼女を俺の部屋へと招き入れてから早速話をすることにするんだが、まず初めに彼女の正体を説明するために名前を名乗るように勧めることにしたんだが
案の定少し抵抗していたものの何とか受け入れてくれたようだ。
しかしそれから先の言葉が見つからないのか中々喋ろうとしない様子だったんだが俺が促すような形で促す事にしてついに口を開いた。
その途端俺は自分の耳を疑いそうになったね?
何故なら……、なんと彼女の名前を聞いてしまったら、まさかの知っている人だったっていう事実を知ることになったんだよ。
そしてそれは、俺の元彼女である美紀という奴だったっていうことまで分かってしまうとは想像もできていなかったぜ。
しかも彼女は俺と結婚するはずだったんだけどな。
しかもその理由がまた酷いんだぜ全くよ。
(なんて奴だよマジで)
まあ今となってはもう関係ないけどな。
まあ、そんなわけで俺と勇者ちゃんは結婚することになりましたよ。
俺は勇者ちゃんとの子供を宿すことができて本当に幸せだなーと思っているわけなんだけど、それと同時にある心配事が頭をよぎったんだ。
(勇者ちゃんを妊娠させてしまったから責任を取らなければ)
という使命感みたいなものに駆られていたんだよな。
でも、それは別に気にしなくても大丈夫だとは思うんだけどな、
勇者ちゃんは俺のことが好きなのは間違いないし、
それに俺だって勇者ちゃんの事が大好きだからな。
それに、今はこうして二人で幸せに暮らしているわけだし何も心配はいらないよ。
まあ、そういうわけで俺達二人の新たな人生の幕開けとなった訳だけど、これから先何が起ころうと俺達は絶対に負けられないと思うぜ。