復興作業と戦闘
最初は何が起こったのか分からなかったのですが、どうやら原因は魔王様の力にあったようなのですよ。
つまりですね、彼女が持っている固有能力である重力操作を使用して相手を圧死させたということなのです。
その結果、見事に敵を倒すことができたというわけなんですよ。
流石ですね〜凄いですと思いました。
(いや、感心してる場合じゃねぇだろ!)
そんなことを考えていたら怒られてしまったようなので黙ります。
すいません。
それから俺達は無事に脱出することに成功したわけだが、問題はここからだった。
なにしろ街中があんな有様になってしまっているのだから当然だが、これでは復旧作業をしようにも人手が足りなさすぎるのである。
さてどうしたものかと考えていると、そこへ救世主が現れたのだ。
その人物とは何と元勇者パーティの魔法使いだったのだが、俺を見るなり泣きながら抱きついてきたのである。
驚いた俺は彼女を宥めようとしたのだが、何故か泣いてばかりで話にならない状態で困ってしまったのだった。
そんな中、突如上空に暗雲が広がるとそこから稲妻が走ったかと思えば轟音と共に俺達の前に降り立ったのであった。
そして現れたのはこれまた懐かしい顔ぶれだったもので驚いてしまったね、何せかつて一緒に旅をした仲間だったからだ。
いや、正確に言えばかつての仲間というわけではないのだが、それでも懐かしさを感じるのは間違いないだろう。
そして、向こうの方も俺の事を覚えていてくれたようで感激していたようだったよ。
まあ無理もないことだろうけどね、何しろあれから何百年という時が流れたのだから忘れていても不思議ではないしな、
でも覚えてくれていた事には素直に嬉しかったよ。
だから俺も改めて自己紹介をした所、彼女は涙を流しながら感謝の言葉を口にしてきたんだ。
それに対して俺もまた笑顔で返すことにしたんだが、そこでようやく落ち着いたみたいでまともに会話できるようになったんだよ。
「お久しぶりです、勇者様」
そう言って頭を下げる彼女に対して俺は慌てて顔を上げてくれと伝えた。
だって、もう勇者じゃないんだからさ。
それに今の俺はただの農民だしな、だから普通に接してくれれば良いんだよって伝えたら納得してくれたよ。
まあそれでも恐縮してるみたいだったけどね。
そんなやり取りをした後、俺達は今後どうするかについて話し合ったんだ。
その結果なんだけど、まずは街の復興作業を行うことにしたんだ。
幸いにも生き残った人達が手伝ってくれる事になったので何とかなりそうだと思ったんだけどね、問題はその後だったんだよ。
「じゃあ、私は先に城へ戻るね? 何かあったらいつでも連絡頂戴」
そう言って、魔王様は帰ってしまったよ。
残された俺達は、とにかくやれる事をやる事にしたんだ。
街の住民達も無事だったようで、彼等も協力してくれて人出も増えていったお陰で何とか作業が進んでいったんだけどね、
問題はモンスターによる襲撃が後を絶たない事だったのは予想外だったな。
しかもその数はどんどん増していき、最終的には1000体はいたんじゃないだろうかってくらいだと思うんだ。
それだけの数を相手取って戦えるほどの力は今の俺には無かったわけで、とにかく逃げてばかりだったんだよね。
だけど、逃げた先でまた別のモンスターと遭遇するわで大変だったなぁ……でも、途中で助けてくれた冒険者さん達のおかげで何とか切り抜ける事が出来たけどね。
ちなみにこの時に出会った冒険者の一人に魔法使いちゃんがいたんだけど、まさかこんな所で会うとは思ってなかったから驚いたな。
「勇者様が困っているという情報が入ったので、駆けつけてきたんですよ?」
と、言っていた。
確かにそれは有難いんだが、
「よくこんな遠くの国の情報を知ってたね?」
って聞いたら、なんと俺達の後を追い駆けてここまで来たって言うんだよ、流石というか何というか凄いなと思っちまったぜ。
しかしまあ、そんな訳で協力してもらう事になったんだけどな、流石に二人だけだと手が回らなかったから助かるってもんだよな。
そして数日後、俺達は無事に街の復興作業を終わらせる事が出来たんだよ。
これもひとえに魔法使いちゃんとその仲間のおかげだと思っているよ!
そんな訳で街の方は一段落ついたものの、今度は別の場所へ行くことになったんだけれども、
そこは何と砂漠地帯でさ、歩いて進むのは本当に辛かったよ。
まあ、それでも何とか辿り着けたんだけどね。
そこに現れたのは巨大なサソリだったんだけど、そいつがまた厄介な相手で、毒液を飛ばしてくんだよ。
しかもそれに触れた瞬間激痛が走るからマジでヤバかったんだよね。
だけど、俺の仲間達は本当に強かったな!
特に、剣士さんの剣捌きには見惚れたよ、まさに電光石火とはこういう事を言うのだろうなと実感させられた。
「勇者様、危ない!」
その言葉と共に、俺は突き飛ばされたんだ。
その直後、サソリの毒液が剣士さんに命中しちまったんだよ。
それを見た俺は慌てて駆け寄ったんだが、その時にはもう遅かった。
彼女は既に気を失っていて、しかも身体中に紫色の斑点が出来ていたんだ。
それを見て焦った俺はすぐに回復魔法を掛けたんだけど全然効果が無いみたいで、途方に暮れているとそこに現れたのが魔法使いちゃんだったわけよ。
彼女はすぐさま解毒魔法を使ってくれたんだけど、それでも効果は無しで結局ダメだったんだ。
だけど、諦めずに何度も試してくれたおかげで何とか一命を取り留めることが出来たんだよね。
それにしても本当に凄いよな〜、流石は魔王様の一番弟子だけあるぜって感心したもんだぜ。
(褒めるところが違うだろ!?)
「勇者様、大丈夫ですか?」
そう聞かれたので俺は大丈夫だと答えたよ。
すると、彼女は安心したように微笑んでくれたんだ。
その笑顔を見た瞬間、ドキッとしたね……まさか俺が一目惚れするなんて思わなかったから、自分でもビックリしちゃったよな!
その後、俺達はサソリとの戦いを続ける事になったんだが、途中で魔法使いちゃんが離脱することになったんだよ。
どうやら魔力が尽きてしまったらしくって、仕方なく俺達だけで戦うことになったわけなんだが、
これがまた大変だったんだよな〜何せ相手は巨大だし毒液は飛ばしてくるしで大変でしたよ本当に!
でも何とか倒す事が出来て良かったよね。
それから数日後の事だったんだけど、今度は別の街に移動する事になったんだよね。
何でもそこは魔王軍が占領しているらしくて、まずはそこを落としてからじゃないと先へ進めないみたいなんだよ。
そんなわけで早速向かったんだけど、そこで思わぬ再会をする事になってしまったんだよね。
何と、魔王軍四天王の一人であり、俺の元仲間でもあった剣士さんと再会することが出来たんだよ。
これには驚いたね、まさかこんな所で会えるなんて思ってなかったからね。
しかも彼女だけじゃなくて他の仲間達も揃っていたんだぜ。
これには感動したよ本当に!
まあそれはそれとして、まずは敵の情報を調べないといけなかったから街の住民達に話を聞いて回ったんだけれども、
その結果分かったのは、敵の数はおよそ1000体以上いるということだったんだ。
流石にそれだけの数を相手にするのは厳しいなと思っていたんだけど、ここで魔法使いちゃんがある提案をしてきたんだ。
その内容というのが、まず最初に俺が単独で敵を誘き寄せている間に他のみんなで周辺の住民達を避難させるというものだったんだが、
これには流石に反対したんだよね。
いくら何でも危険すぎるだろって思ったから、だけど彼女は譲らなかったんだよ。
どうしても俺に死んで欲しくないからってね、そこまで言われたら断れないよな。
だから俺は覚悟を決めて一人で戦うことにしたんだ。
そして作戦決行の日がやってきたんだけど、案の定敵の数は多かったよ。
まあでも、それでもやるしかないと思って頑張ったんだけどね。
途中で何度も危ない場面はあったけど何とか切り抜ける事が出来たんだ。
その結果、敵の数も大分減らす事が出来たみたいで最終的には1000体以下まで減らすことが出来たんだよな。
ただ、それでもまだ半分近く残っていたから油断は出来ない状況だったんだけど、
そこに現れたのは、何と魔王様だったんだよ。
「みんな、お疲れ様! 後は任せて!」
そう言って現れた魔王様は、圧倒的な力で敵を殲滅していったんだ。
そしてあっという間に全滅させてしまったんだよね。
これには驚いたな、まさかここまで強いとは思ってなかったからね。
その後、俺達は街へ戻る事になったんだが、その際に魔王様がこんなことを言ってきたんだよ。
「ねえ勇者様、私達と一緒に来ない?」
最初は迷ったんだけど、結局ついていく事にしたんだ。
だってせっかくこうして再会できたんだからこれからも一緒に居たいと思ってるから、
それに俺にはもう帰る家もないしね、だから覚悟を決めてついて行くことにしたんだよ。
ちなみにこの後また旅に出ることが決まってしまった俺たちだったが、
今度は何処に行くかはまだ決まっていないらしいんだけど、
それでも何とかなるだろうと楽観的に考えることにしたんだよね。