結婚式と新たな生活、そしてバトル
「あの、お二人はどちらが先に告白されたんですか?」
って聞いてみたら
「私よ」
と即答されていまいましたよ。
リズーナさんってこんな積極的な性格でしたっけ? と疑問を抱くと同時に、
リズーナさんは俺の腕をギュッと掴んできたためビクッとしてしまったのだが、
それを見た魔王様がニヤニヤし始めていることからも何かありそうだと思って聞いてみると、
どうやら彼女は独占欲の塊らしいということが分かってきた。
つまり、俺がリズーナさんを褒めたり仲良くしているところを見られたりした時に、
嫉妬していたということだがそれが原因となって夫婦仲が悪くなるのを恐れているため、
俺にだけはそのことを伝えずに隠していたとのことらしい。
まあ、その気持ちは少し理解できるけどね、魔王様に言われて初めて気づいたのだが、
確かに俺はいつも無意識のうちにリズーナさんのことを目で追うようになっていたような気が……まあでも、
それは魔王様にも言えることだと思いますよ。
というか俺の妻達、皆んな可愛い過ぎるだろ?
こんな美女たちに毎日愛されて、俺は幸せだよ。
そしていよいよ運命の日がやってきてしまいました。
魔王様、リズーナさん、そして俺を含む四人で結婚式は始まりました。
先ず、最初に行われたイベントとして魔王様の演説から始まります。
その内容とは、魔王様は魔族を束ねる存在であって人間や亜人には敵であると思われていたのだが、
実際はそんなことはなく、人間と共存共栄する道を模索していたということを明かしたのである。
これには、俺もびっくりしましたけどね?
まさかそんなことをしているなんて思っていもいなかったですし、何よりも、
その目的のために多くの犠牲が出ていることを思うととても心が痛いです。
だからこそ俺は、魔王軍に入ることを決意したのかもしれない。
そんな俺の決意を魔王様に打ち明けた所、彼女も理解を示してくれて、俺のことを認めてくれるようになったのでした。
そして、結婚式は無事に終了しました。
その後も色々と大変だったけど……まあそれでも充実した日々だったかなと感じますね。
でも、まだ戦いが終わったわけではありませんからね、これから更に気を引き締めて、
この新たな世界での生活を満喫したいと思いますよ。
それからというもの、俺たちはこの新たな世界での生活に馴染むことができていました。
もちろん、その間も彼女たちとの甘い時間を過ごすことができましたし、幸せな時間を過ごせたのは間違いありませんね。
これからどんなことが待ち受けているのか、期待と不安が入り混じっているのですが、
それでも俺は前に進んでいくつもりです。
「ねえ、あなた、早く行きましょう」
そう言って俺の腕を引っ張るリズーナさん。
今日は彼女と二人だけでお出かけをする予定だったのだが、その前に少し寄りたいところがあるのだという。
一体何処に行くつもりなのだろう?
そう思いながらも彼女に手を引かれるままついていくと、辿り着いた場所はとある喫茶店だった。
中に入るなり彼女は店員に声を掛けると、そのまま席に案内されたのでそこに座ることにしました。
それからしばらくすると注文した飲み物が来たので早速飲み始めましたが、そこで彼女が突然こんなことを言い出したのです。
「実は私ね、あなたにどうしても伝えたいことがあるの……」
そう告げた彼女の目は真剣そのものでしたので、俺も姿勢を正して聞くことにしたのですが……
一体何の話なのだろうと思っていたら、とんでもないことを言われてしまいましたよ。
「ここでキスして欲しいの」
「えっ、ここでですか?」
「うん、ダメかな?」
上目遣いで見つめられてしまっては断れませんからね、俺は覚悟を決めると彼女の唇にそっと口づけをしました。
そうすると彼女もそれに応えるように、俺の背中に手を回してギュッと抱きしめてくれましたよ。
それからしばらくの間俺たちは抱き合っていたのですが、やがてどちらからともなく離れると、お互いに見つめ合いました。
そして、もう一度唇を重ね合わせようとしたその時でした。
突然店内に悲鳴が響き渡ったのです!
何事かと思って見てみると、そこには信じられない光景が広がっていましたよ。
何と店内にいた客の一人が急に苦しみ出し始めたかと思うと、身体が溶け始めてしまったではありませんか!?
一体何が起きているのでしょうか?
その後も次々と犠牲者が増えていき、遂には店員さんまで犠牲になってしまったようです。
一体何が起こったのか分からず混乱していると、今度は窓の外からも悲鳴や叫び声が聞こえてきました。
そこで窓の外を覗いてみると、そこには信じられない光景が広がっていました。
何と、街全体が炎に包まれていたのです。
しかもその規模はどんどん拡大しており、このままではこの街全体が焼け野原になってしまうでしょう。
しかし、ここで諦めるわけにはいきません。
何としても食い止めなければと思った俺は、急いで店を飛び出しました。
そうするとその直後に背後から声を掛けられたので振り向くと、そこには魔王様の姿がありましたよ。
どうやら彼女も異変に気付いて駆けつけたみたいですが、その表情はかなり険しいものでした。
やはりこの状況はかなり深刻なようですね……そう思った矢先に再び悲鳴が聞こえてきましたので慌ててそちらに向かうと、
今度は別の場所にも火の手が上がっていましたよ。
そしてここでもまた犠牲者が出ていたのですが、不思議なことに誰一人として死んではいなかったのです。
一体どういうことなのかと不思議に思っていると、今度は空から何かが落ちてきました。
それは、巨大な隕石のようなものでしたが、よく見ると表面の一部が割れており、
そこから人間の手のようなものが突き出ていたのです。
しかも、その手は何かを探すかのように蠢いています。
それを見た俺は、直感的にそれが何なのか理解しましたよ。
これは恐らくですが、この異変の原因である可能性が高いと思います。
なぜなら、その手が動くたびに街が破壊されていくからです。
このままではいずれこの街自体がなくなってしまうかもしれませんからね……なので
その前に何とかしなければと思ったのですが、どうやって対処すればいいのか分かりませんでしたから困り果てていましたら、
魔王様がこう言ってきたのです。
「あの手、もしかしたら私の知り合いかもしれない」
それを聞いて驚きましたよ。
まさか、こんなところで魔王様の知り合いに会うことになるとは思わなかったですからね。
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではありませんからね。
一刻も早くあの手を何とかしなければなりません!
そう思った俺は、早速行動に移すことにしましたよ。
まずは状況を把握するために周囲の様子を探ってみると、どうやら街の人々は皆気を失っているようでした。
恐らくは先程の火もその影響によるものでしょうが、何故このような事態になったのかは全く分かりませんでした。
ですが、今はそれについて考えている暇はありませんので先を急ぐことにします。
そしてついに目的地に辿り着いたのですが、そこには驚くべき光景が広がっていましたね。
なんとそこには巨大な植物のモンスターがいたのです。
しかもその大きさときたら尋常ではなく、高さだけでも10メートル以上はあるでしょう。
さらに、その周囲には謎の黒い霧が立ち込めており、視界が悪くなっています。
この状況下でどのようにして戦えばいいのか考えていると、魔王様がこう言ってきましたよ。
どうやら彼女は植物系のモンスターに詳しかったらしく、弱点なども熟知しているようでしたから、
その言葉を頼りに戦うことに決めました。
そして早速攻撃を仕掛けることにしたのですが、相手は巨大なため攻撃を当てるのが困難でしたが、
それでも何とか隙を見つけては攻撃を繰り出していきました。
しかし、相手も黙って攻撃を受けているばかりではありませんからね、反撃とばかりに触手のようなものを伸ばしてきて攻撃してきたのです。
それを間一髪で避けた私は体勢を立て直そうとしましたが、今度は別の方向から伸びてきた触手によって捕まってしまいましたよ!?
身動きが取れなくなった俺を見て、魔王様が助けようとしてくれたのですが、
それよりも先に触手が彼女に襲いかかり、彼女も捕まってしまいました。
このままではまずいと思った俺は必死に抵抗しましたが、結局二人とも捕まってしまい、そのまま持ち上げられてしまいました。
そして次の瞬間には宙吊り状態になってしまいましたよ……しかも、それだけではありません。
なんと俺の衣服が全て剥ぎ取られてしまったのです。
これには流石に焦りましたね?
だって、いきなり素肌になったのですから当然ですよ。
恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になりましたよ。
しかし、そんなことを言っている場合ではありませんでしたね。
何故なら目の前には巨大な植物のモンスターがいるわけですから……このまま連れて行かれて食べられてしまうのではないかと不安になりましたよ。
ですが、その時でした。
突然巨大植物の動きが止まりましたかと思うと、今度は枯れ始めていったのです。